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「敵基地攻撃」論の不毛

   「敵基地攻撃能力」の議論は今となっては意味をなさない。この「敵基地攻撃能力」とは、ミサイル攻撃を未然に防ぐため発射前に相手の基地を攻撃できる能力のことであるが、北朝鮮が核弾頭を小型化して潜水艦発射型ミサイル(SLBM)の弾頭に搭載している現在では、ミサイルの在り処を特定し、その発射の兆候を察知することは極めて困難になってしまった。北朝鮮に第一撃を思い止まらせるためには、我が国も核ミサイルを保有して、確実な第二撃能力を構築する以外に方法はない。無駄なMDなどに金を使うのを止めて、我が国は一刻も早く核武装すべきである。

http://www.jiji.com/sp/article?k=2017012900085&g=pol

尖閣有事でも日米安保は機能しない。

マティス国防長官が、韓国の後に我が国を訪れ、尖閣諸島日米安保の適用内であると明言するらしいが、口約束ほど当てにならないものはない。断言するが、尖閣有事に際してアメリカが我が国を守ることはない。その理由は、第一に、日米安保条約第5条では「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」とあり、日米安保は自動的にではなく、「自国の憲法上の規定及び手続」を経なければ発動しないことになっている。その上で、米国大統領は、陸海空軍の最高指揮官であるが、憲法上、宣戦布告権は連邦議会にあり、大統領といえども武力行使は議会の承認を得なければならない。つまり、米国政府がいくら対日防衛を口約束しても、議会が反対すれば履行されないのである。第二に、尖閣有事に際して、仮に日米が共同して中国の侵攻を撃退したとしても、中国が黙って引き退るとは考えられない。対日戦での敗北は、中国国内における共産党支配の正当性そのものをひっくり返しかねないからだ。その場合、中国は対日攻撃のレベルをエスカレートさせ、米軍基地のある沖縄への核攻撃を示唆して我が国に政治的な屈服を強いるだろう。論理的に、沖縄の米軍が核攻撃を受けた場合に、アメリカは中国本土への核報復に出ざるを得ないが、その場合、中国もアメリカ本土への核報復を仕掛けることになる。問題はそこまでのリスクを犯して米国が我が国を守るかと言うことであり、絶対にない。この様に、米中間で相互核抑止が働いている限り、米国が中国との戦争で我が国を守ることはない。よって米国政府がいくら対日防衛を口にしても、それは所詮、不誠実なリップサービスであり、まやかしに過ぎない。そのことを我々日本国民はいい加減気づかねばならない。

http://sp.yomiuri.co.jp/politics/20170128-OYT1T50137.html

明治維新を貶める輩

今年は明治維新百五十年の節目である。政府を含め記念事業が予定されているが、この祝賀ムードに水を差すかのように、原田伊織なる人物の『明治維新という過ち』を始めとする一連の著作がベストセラーなっているという。原田氏は、著書で明治維新薩長の権力奪取の為のクーデターと断じ、維新に功労のあった吉田松陰久坂玄瑞をテロリスト呼ばわりしている。薩長の牛耳る明治政府が、明治維新本来の理想から乖離し、西南戦争やその後の昭和維新運動に繋がっていったのは事実であるが、本来の明治維新そのものの意義を全否定する言説がこの期に及んで流布している現状は実に嘆かわしい。私人の言説とはいえ、その影響力を考えると到底看過できない。

http://www.news-postseven.com/archives/20151117_364288.html?PAGE=1#container

カジノ法案もアメリカの圧力

昨年末、安倍首相が不自然なくらい大急ぎで成立させたカジノ法案の背後にはやはりアメリカの圧力があった。この在日米国商工会議所(ACCJ)はアメリカによる対日侵略の手先であり、とんでもない内政干渉機関である。奴らがアメリカ政府や国際金融資本と連動し、「意見書」と題して我が国政府に突きつけた対日要求には、カジノ法案の他、農協改革やマイナンバー制度、外国人労働者の受け入れなどが含まれる。カジノ法に関する「意見書」では、入場料無料化や24時間営業、消費者金融のATM設置などが要求されているが、貧乏人に借金までさせて一日中賭博に興じさせるつもりか。アメリカの侵略断じて許すまじ。

http://saigaijyouhou.com/blog-entry-14611.html

「日米同盟」の基盤は溶解している

   トランプは、アメリカが他国との同盟関係で一方的な負担を背負わされていると主張しているが、少なくとも日米関係について言えば、その認識は二つの点で間違っている。

   第一に、戦後の日米関係は、我が国がアメリカに基地を提供する代わりに、アメリカは我が国に豊沃な国内消費市場を開放するという相互主義に基づいて来たからだ。したがって、アメリカが保護主義によって日本からの輸入を制限するならば、我が国がアメリカにこれ以上基地を提供する義理はない。

   第二に、八十年代以降、アメリカは累積した貿易赤字を補うために、貿易相手国の金融市場を自由化し、貿易によって失ったドルを金融で取り戻す政策を続けて来た。それは我が国に対しても、日米構造協議や年次改革要望書における露骨な金融市場自由化圧力となって現れたのである。安倍首相の未遂に終わったTPPも、眼目は金融市場の自由化であった。したがって、もしアメリカが保護貿易を敷くならば、我が国はこれ以上アメリカによる金融市場の自由化要求に応じる義理もない。

   このように、トランプの「アメリカ第一主義」は、日米関係に関する限り、我が国がアメリカへの基地の提供を終了し、アメリカを中心とする国際金融資本から自国産業を防衛する論理的な根拠を与えるものである。

栗山潜鋒『保建大記』を読む会のお知らせ

『保建大記』は、崎門の栗山潜鋒(一六七一~一七〇六)が元禄二年(一六八九年)に著した書であり、『打聞』は、同じく崎門の谷秦山が『保建大記』を注釈した講義の筆録です。崎門学では、この『保建大記』を北畠親房の『神皇正統記』と並ぶ必読文献に位置づけております。そこでこの度弊会では本書(『保建大記』)の読書会を開催致します。詳細は次の通りです。

○日時 平成二十九年一月二十八日(土曜日)
○場所 弊会事務所(〒二七九の〇〇〇一千葉県浦安市当代島一の三の二九アイエムビル五階)
○連絡先 〇九〇(一八四七)一六二七
○使用するテキスト 『保建大記打聞編注』(杉崎仁編注、平成二一年、勉誠出版)

防衛費の増額が意味するもの

   安倍政権の今年度予算で、軍事費が過去最高(5兆1251億円)になった。確かに軍事費の増額は良いことであるが、安倍内閣の場合、何てことはない、単にアメリカへの「思いやり予算」や「基地再編経費」、オスプレイやF35など、アメリカからの高額な兵器購入が増えただけのことである。これでは意味がない。そもそも日米地位協定では、「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」は「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と明記されているのだから、「思いやり予算」や「基地再編経費」は協定違反である。それにオスプレイは一台100億するが他国は50億で買っている。要は、ぼられているのである。我が国の技術を以てすれば、オスプレイごとき簡単に作れる筈だだ。そのための金ならいくら使っても惜しくはない。

皇統問題を放置して来た罪

安倍内閣が特例法を推し進めるのは、典範改正が女性宮家女系天皇の議論に繋がりかねないことを恐れているからだというが、それならば何故、安倍首相は、就任以来五年もの間、男系男子の皇統を護持するために手を打ってこなかったのか。国家の根幹である皇位継承の問題を先送りしておきながら、野党の女系論を理由に、その場しのぎの特例法で対処しようとするのは、忠誠なる態度とはいえない。しかも、「政府・与党内では、民進党が求めている女性宮家創設などの実現について、特例法案の付則などに議論の推進を盛り込むことで折り合う案も浮上している。」(今日読売)という。こんなことになったら最悪だ。首相は「経済最優先」というが、「御皇室最優先」にしろ。

THAADはMDと同様無力だ。

   稲田防衛相が導入を検討している最新鋭ミサイル防衛システム、THAAD(最終段階高高度地域防衛)は、全く無用の長物で役に立たない。我が国のミサイル防衛(MD)は、イージス艦搭載の迎撃ミサイル(SM3)と地対空誘導弾(PAC3)からなる。THAADは、大気圏外や大気圏突入直後の上層部で迎撃し、SM3とPAC3の隙間をカバーするシステムで、MDの迎撃能力を高めると言われる。これまで我が国は1兆円をかけてMDを導入したが、MDは導入元のアメリカですら、過去の迎撃実験で一度も成功しておらず、莫大な金がかかる割に実用性の乏しいシステムである。それに、ミサイルの発射情報をアメリカに依存するため、対米従属の強化につながりかねない。たしかに、SLBM(潜水艦発射型ミサイル)等、特定困難な発射地点から、しかも複数のミサイル(おとりを含む)による攻撃を受けた場合、それらを全て撃ち落とすことは現実的に不可能である。しかし、たとえ一発の着弾でも、それが核弾頭を搭載したミサイルであれば、我が国は壊滅的な打撃を受ける。したがって、敵からの核ミサイルに対してMDやTHAADは無力あり、アメリカの軍産複合体を裨益するだけだ。本質的対抗措置は、我が国が先制核攻撃能力を構築する以外にない。

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