以下、吉村伊平氏の許可を得て、同氏の「世界人類の宝珠・日本」を転載させていただきます。
こんにちは。吉村伊平でございます。皆様の前でお話をさせていただく事を大変光栄に思いますと共にこの機会を与えていただきました国柱会の皆様に心から御礼申し上げます。
秋篠宮悠仁親王殿下の御降誕、誠におめでとう存じます。皆様と共に改めて寿ぎたく存じます。
本日は明治天皇のお誕生日です。明治節でございます。明治天皇は明治大帝とお呼ばれになりました。国際的な呼び方でしょう。田中智学先生は「国体の世界的表現者たる明治天皇」と仰いました。明治維新より二十九年後の日清戦役そして三十八年後の日露戦役に勝利し、又不平等条約改正をも達成されて日本は明治天皇を戴く東洋の君主国として名をあげたのであります。
さて、私達人間は一人では生きてゆけないものでございます。集団として生きて行かざるを得ないのであります。
最も安定した集団は円を描きます。輪(和)となります。即ち球となります。宇宙も球型であります。球には必ず中心があります。宇宙の中心は大神であります。球を日本に例えれば中心は天皇陛下であります。即ち日本人の集団、日本国の中心は天皇陛下であります。世界に王国はたくさんあり、国王、女王もたくさんおられます。
我が国の天皇陛下は我々国民を「オオミタカラ」とお呼びになります。他の国の皇帝とかキング、カイゼル、クイーンはお呼びになりません。我が日本国の天皇陛下だけであります。これが有難いところであります。アリガタイのであります。
明治天皇の御製に
罪あらば我を咎めよ天つ神
民はわが身の産みし子なれば
千萬の民の心ををさむるも
いつくしみこそ基(もとひ)なりけれ
ここに一君万民、君民一体の国柄が表わし尽されております。
日本の文化と言えば茶道、華道、能、狂言とワビサビの香り高いものがたくさんありますが、天皇こそ日本の最高の文化であります。「国体の本義」と言う書の中に「日本は一大家族国家である」と書いてあります。
親が子供にそそぐ愛は無償の愛であります。身を捨てて仁を為すと言いますが、我が子に対して身を捨てて愛をなす気持を経験された方もここにも多くおられると思います。
そして子は又家族はその恩に報いようとする。親から子、子から親へと滞りなく思いは通ずるものであります。
同じ様に一大家族国家日本では天皇と国民の交流がなされるのであります。
しきしまの大和心のををしさは
ことある時ぞ あらはれにける
国民に対する大いなる御信頼のお気持が表われている御製と拝します。
天皇には情における慈悲心をお持ちの様に考えられがちですが、宮中三殿(賢所・天照大神、皇霊殿・歴代天皇、神殿・八百万神々)に私なく玉体を伏して祈られる御心が即ち我々オオミタカラヘのいつくしみとして現れるのであります。また、天皇陛下を戴く我々からはその御存在そのものが尊いのであり、有難いのであって、天皇は皇祖皇宗に祈られる御心そのものが、国を想われることであり、我々へのいつくしみとなるのです。神の御心になられるのであります。
仁徳天皇
高き屋に登りて見れば煙立つ
民のかまどもにぎわいにけり
長慶天皇
高き屋に煙をのぞむいにしへに
たちもおよばぬ 身をなげきつつ
霊元天皇
朝夕のけぶりたえだえ住む賎(しづ)は
おのがたのみの秋や待つらむ
(この様に国民の苦しい時、又希望の時の御製もあります。)
明治天皇
事有るにつけていよいよ思ふかな
民のかまどの煙いかにと
としどしにけぶりゆたかになりぬらむ
南の島の民のかまども
(明治三十八年日露戦役戦勝の年。南の島とは台湾のことです。)
国民(くにたみ)のかまどのけぶりほそくとも
長く久しくたてつづけなむ
(翌明治三十九年の御製。)
今上陛下(当時。現在の上皇陛下)にもこの様な御製があります。
戦なき世を歩みきて思い出づ
かの難き日を生きし人々
(平成十七年の御製。)
これらの御製には、皇祖皇宗に祈られる心を以って国民をいつくしみおもわれる大御心が一貫しております。
日本は古来祭政一致の国であります。
「神ながら、言挙げせぬ、言霊のさきほう国」と言われて来ました。
神ながらとは、理智、分別、情感、情操を超越したうえでのあるがままの状態のこと。
言挙げせぬとは、殊更取り立てて言うこともなく、根元に向ってさからわない事。即ち集約帰一。
言霊のさきほうとは、人間は勿論草木盡くにいたるまでモノを言い繁栄する事。即ち分散拡大。
神ながら言挙げせぬ言霊のさきほう国とは、この集約帰一と分散拡大が同時に衝突する事なく調和交流するのが日本の国、日本の国体である、と言っているのです。
両者矛盾なく対立せず調和するのは生命体であるからです。
「日本国体は生命体なのであります」
ここに維新の歴史があるのです。
我々個人の生命、肉体そして大自然は日々維新を断行しているのです。生命体は生命の持続を基本とし、時々刻々変革しています。
保守とは生命の肯定であり、革新は若い芽が大地を破って生長する様に生命発展の必然的な様相なのであります。保守と革新が同時に行なわれるところに日本の本質があり、維新の本質があるのです。日本的生命は対立する各個を総合統一し各個を生かし調和をもたらすものであります。
これは憲法以前の真理です。だから日本国の元首は天皇陛下にあらせられることが本当なのです。日本は根元に向かって帰一し、同時に根元から分散拡大する生命であるからです。
鳥取大学名誉教授の井上順理先生は本年(平成十九年)二月の大和心のつどひにて、日本は「全生の国家である」と言われました。この日本の中において生を全うする事が出来る。生まれた甲斐がある。国家の内で満足して死ねる国家である、と。
去る(平成十九年)十月二十五日、愛媛県の西条市に行って参りました。神風特別攻撃隊第一号敷島隊隊長関行男中佐の故郷であり、敷島隊五軍神と愛媛県出身の特攻隊員の方々の慰霊祭がとり行なわれました。
ますらをの かなしきいのち つみかさね
つみかさねまもる やまとしまねを (三井 甲之)
特攻隊とは必死必殺の人間爆弾の戦法ですが、ここに「国家と国民が一体」となった神人の姿があります。日本文化の発揚は特攻隊に極まる、と私達日本人は知るべきでしょう。
多くの外国人が恐れと共に特攻隊のあり様を讃えています。ある特攻隊慰霊の会の会誌にカナダ人の若い女性が「日本の特攻隊のことを初めて知って驚いた。祖国のために一命を捨てた神の所業です」と書いていました。
この神を、文化を平準化したり貶めてはなりません。
御成敗式目に
神は人の敬によって威をまし
人は神の徳によって運を添ふ
とあります。
神様を大切に敬わねばなりません。
皇室を我々の手で護らねばなりません。
特攻隊をはじめ御英霊を大切に祭らねばならないのであります。私達の使命です。
明治天皇が東京帝国大学に行幸された折、お帰りのお召しの馬車にお乗りになられる際、侍従に「大学教育の内容はこれでよいのか」と御下問されたとの事でございます。さすがに英明な明治陛下です。有識者、学識経験者、賢者などと言われる人々、政治家、高級官僚達はこの国体、国柄を御存じなのでしょうか。今討議されている教育基本法の教育の目的、内容については国柄の有難さ、日本の国に生を受けた生き甲斐をどの様にして教えるかを検討して欲しいと思うところであります。
正義は国家の数だけある、などとしたり顔で無責任に言い放つ人達がおりますが、私は正義は一つであると確信しております。
一般に軍歌と言われていますが、実は軍歌とは思えない程日本文化を讃えている歌と私には思える「愛国行進曲」二番三番に、こうあります。
二、起て一系の大君を 光と永久に戴きて
臣民我ら皆共に 御稜威に副わん大使命
往け八紘を宇となし 四海の人を導きて
正しき平和うち建てん 理想は花と咲き薫る
三、今幾度かわが上に 試練の嵐哮(たけ)るとも
断乎と守れその正義 進まん道は一つのみ
ああ悠遠の神代より 轟く歩調うけ継ぎて
大行進の往く彼方 皇国常に栄あれ
御製
天つかみ さだめたまひし末なれば
わが国ながら たふとかりけり
人類が賢明ならば、いつか将来正義は一つとして皇国日本が世界人類平和大統一の鏡となるべき時が来ると信じます。
◇
日本の国に憧れ、敬い愛してくれた外国人は多勢おられます。ここでほんの少し一部の方々を御紹介させて頂きます。
先ず皆様よく御存じの大科学者であり、哲学者であるA・アインシュタイン博士です。大正の末に来日され次の言葉を残されました。
「近代日本の発達程世界を驚かしたものはない。この驚異的な発展には他の国と異なる何ものかがなくてはならない。果たせるかなこの国の三千年の歴史がそれであった。この長い歴史を通して、一系の天皇をいだいているということが、今日の日本をあらしめたのである。私はこのような尊い国が世界中に一ケ所位なくてはならないと考えていた。なぜなら、世界の未来は進むだけ進み、その間幾度か争いは繰り返されて、最後の戦いに疲れる時がくる。その時、人類はまことの平和を求めて、世界的盟主を挙げねばならない。この世界の盟主なるものは、武力や金力ではなく凡ゆる国の歴史を抜き越えた、最も古くまた尊い家柄でなくてはならぬ。世界の文化はアジアに始まってアジアに帰る。そしてアジアの高峰、日本に立ち戻らねばならない。吾々は神に感謝する。吾々に日本という尊い国を作って置いてくれたことを…」
一、次は小泉八雲。ギリシャ系イギリス人。ラフカディオ・ハーンです。東京帝国大学で教鞭を取り、日本の神社、各地の伝説、怪談などを研究され、日本女性と結婚、帰化し、神国日本を世界に伝えられました。
一、ポルトガル人モラリス。神戸のポルトガル領事館員。
日本の自然、義理人情、日本文化を深く愛し、「日本こそ魂の安息が求められる最後の地だ。として帰化し日本女性と結婚して一度も帰国せず「大日本」「日本精神」を著述。悲しいまでに日本に恋慕し、今は奥様の故郷徳島に眠っておられます。
一、イギリス人アーノルド・トインビー博士。
伊勢神宮に参拝されて「この聖なる地域で私は全ての宗教の根源的統一を感じた」と述べておられます。
一、米国人ウェスト法学博士。
「絶海の孤島の漁師でもいい、山間僻地の百姓でもいい、私は日本人になって天皇陛下にお仕えしたい」と言われました。この方は「大和心のつどひ」で御講話下さり、私も日本人の奥様とご一緒に伊勢神宮にお参りした事がありました。
一、アンドレ・マルロー。フランス。ドゴール大統領時代の文化大臣。
四度来日され、昭和三十五年、昭和天皇と会見された折り「日本は去る大戦で敗れたりと言えども素晴らしいものを一つ世界に残してくれました。陛下、それは特攻であります。ル・ブシドーを創造した民族と騎士道を創造した民族がどうして対話出来ないはずがありましょうか」と言上された。又「永遠を瞬時に表わす事が出来るのは日本民族だけだ」と話されております。
一、ポール・クローデル。元フランス駐日大使。
「私が決して亡ぼされない様に願う一つの民族がある。それは日本民族だ」と言い残しております。
一、東京裁判のウェッブ裁判長。オーストラリア人。
「日本の天皇は神だ。あれだけの試練を受けても帝位を維持しているのは神でなければ出来ない」
一、イギリスの政治学者 ラスキ博士。
「王冠は敗戦を生きのびることは出来ない。ただ一つの例外、それは昭和天皇である。日本は天皇を戴く神の国だ」
私が直接お会いした方々には、
一、韓国人 朴鉄柱氏。元朴大統領のブレーン。
「いつも日本海を渡って日本へ来る時、飛行機から日本の島々が見え出すと、ああ、神の国だ、と心の中で叫びます」と言っておられました。
一、中国人 胡蘭成氏。汪兆銘政権時の法制局長官で亡命者。筑波山麓に住まわれていました。
「中国には日本にある物は何でもある。中国になくて日本にだけあるのは伊勢神宮である」と言われ、又「中華料理の最高の材料はツバメノスです。日本はツバメノスです。ツバメノスには元々味が全くないが他の全ての具材の良い味を吸収してそれ等を超越した別の慶い味になる」と仰っておりました。また日本は早く大政奉還をせねばならない、と力説されました。
以上私のつたない話ではありましたが、日本が世界人類の宝珠である事を少しは述べる事が出来ましたでしょうか。しかし今、私達日本人には国内的にも国際的にもこの真理を伝える尊い責務がある事を知らねばなりません。
最後に国学者 筧克彦先生のお歌を御紹介して終わりたいと思います。
かしこまぬ 御民やはある すめらぎの
治らす皇国の本を知りなば
ありがとうございました。
(平成十八年の明治節(十一月三日)第十五回桃山御陵参拝団における講話)