小林興起×藤井 聡「特別対談 積極財政は竹中平蔵に潰された! 米中ダブル属国になる日本」(『維新と興亜』第10号)


『維新と興亜』第10号(令和3年12月28日発売)の小林興起先生と藤井聡先生の特別対談「積極財政は竹中平蔵に潰された! 米中ダブル属国になる日本」の一部を紹介します。

小林興起×藤井 聡「特別対談 積極財政は竹中平蔵に潰された! 米中ダブル属国になる日本」(『維新と興亜』第10号)

藤井 私は日本がデフレから脱却できないまま、日本経済が弱体化していくことに非常に強い危機感を抱いています。
 このままでは、日本はアメリカの属国として小国化していき、やがて日本がアメリカにとって利用価値のない国になった時、日本はボロ雑巾のように捨てられるでしょう。その時、日本は中国によってさらにいたぶり続けられることになるでしょう。このまま日本の国力が衰退していけば、アメリカと中国のダブル属国になり、東南アジアの小国のような存在に転落するということです。
 日本が小国化していけば、戦後レジームからの脱却もできなくなる。日本が影響力のない小国ならば、世界が日本に配慮する必要などないからです。日本が大国になって初めて、世界各国は日本の機嫌をとり、日本が国際社会で主要な役割を果たすことが自国の国益にもつながると考えるようになるでしょう。そうならない限り、日本が戦後レジームから脱却することはできないでしょう。
小林 平成の時代はまさに停滞の三十年でした。日本だけが経済成長できず、衰退していったのです。一九九五年から二〇一九年までのおよそ四半世紀で、中国のGDPは七・八倍に拡大しましたが、日本はわずか一・二倍でした。すでに二〇一〇年に日本はGDPで中国に追い抜かれ、いまや中国のGDPは日本の三倍の規模にまで拡大しています。
 日本経済を支えていた科学技術力にも陰りが見えています。注目度が高い科学論文の数で、中国がアメリカを抜いて初めて首位となる一方、日本は世界十位に転落しました。
 象徴的なのはコロナ・ワクチンの開発です。アメリカ、イギリス、ドイツ、中国、ロシアなど世界の大国と言われる国はほぼすべて自国でワクチンを開発しています。ところが、日本では未だにワクチンが開発されていません。しかも、このことが異常な事態だという声さえ上がってきません。
 宇宙開発では、アメリカとソ連(ロシア)が競っていましたが、今や中国が急速に追い上げています。この分野でも日本には潜在的な能力があります。例えば、昨年末には小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」の砂を地球に持ち帰り、その成果が期待されています。また、我が国はロケットの打ち上げには成功していますが、有人宇宙飛行のための開発は未だ行っていません。国家を挙げて科学技術を振興する体制が弱まっているのです。かつて日本は「技術立国」といった明確な国家目標を定めて、国家がそれを全面的に支援していました。そうした体制を再構築するべきです。
 同時に、この三十年間、間違った政策を続け、国家を衰退させたことを、日本の政治家や官僚は謙虚に反省すべきです。

日本人の道義が失われている
藤井 本誌は「道義国家日本の再建」を掲げていますが、日本人の道義の低下は重大な問題だと思います。先日私は、最も好きな本の一つである内村鑑三の『代表的日本人』を用いてゼミを行いました。
 同書は西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・日蓮の五人を取り上げていますが、尊徳に関する興味深いエピソードが紹介されています。尊徳は、幕府から利根川下流の大沼の排水に必要な計画を立て、報告するよう命じられました。利根川と江戸湾の間に新しい水路を作り、洪水による被害を防ごうという計画です。これに対して、尊徳の回答は「できるかもしれない。しかし、できないかもしれない」というものでした。
 尊徳がそのように答えたのは、どれだけの資金を使って事業をしようとしても、民の徳の水準が低下していては、彼らを事業に従事させることはできないと考えたからです。尊徳は、事業は「強い報恩の念により動かされ、心を合わせた人々をしてはじめて可能」だとも語っています。
 尊徳の指摘は、現在の状況にも当てはまります。国土強靭化、デフレ脱却が正しい政策だとわかっていても、官邸、与党、財界、学者、官僚の徳が低過ぎて実現できないのです。彼らは私利私欲を求め、自分の保身ばかり考え、国家、公共のために尽くそうという道義の心を失っているのです。
小林 己を捨てて国家や社会のために尽くそうという人物が出てこなければ、時代は変わりません。そのような大人物が生まれたからこそ、二百六十年におよんだ徳川幕府の時代も終焉し、明治維新が実現したのです。そして我が国は、欧米列強による植民地支配を免れ、独立を維持しました。ところが、やがて指導者たちの質が低下し、わが国は戦争に突入し敗戦しました。
 しかし、わが国は廃墟の中から再び立ち上がり、見事な戦後復興を果たしました。その結果、豊かな日本が築かれたのです。だが、平成の頃から再び国の舵をとる優れた指導者がいなくなったように思います。いまこそ、再び日本を豊かにするために、正しい政策を遂行する政治勢力の誕生が求められているのです。

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