『維新と興亜』第8号に掲載した【巻頭言】ビル・ゲイツによる食の支配を許すな(坪内隆彦)の一部を紹介します。
〈九月にニューヨークで開催される国連食料システムサミットは、わが国の食と農の将来を左右する極めて重要な会議となりそうだ。グローバリストたちは、このサミットの議論を有利に展開し、世界の食と農の支配を強めようと目論んでいるからだ。例えば、彼らは安全性に疑問があるゲノム編集技術を使った農作物や農薬、デジタル農業・スマート農業を世界に拡大しようとしている。前号の特集で警鐘を鳴らしたグローバルアグリビジネスがいま攻勢に出ようとしているのだ。
警戒すべきことは、「アフリカ緑の革命のための同盟(AGRA)」のアグネス・カリバタ総裁(元ルワンダ農相)が、このサミットを主導することだ。AGRAは、アフリカの貧困と飢餓を克服するために設立された国際組織とされている。しかし、AGRAはマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツの「ビル&メリンダゲイツ財団」から資金提供を受け、遺伝子組み換え作物(GMO)の生産をアフリカに広げてきた。
ビル・ゲイツの食料戦略については、なぜか日本国内ではあまり報じられていない。今年一月に公表されたThe Land Reportの報告によると、アメリカで最も広大な農地を所有しているのがゲイツだ。ルイジアナ、アーカンソーなど十八の州で、合計二十四万二千エーカー(約九百八十平方km)を所有している。〉