折本龍則氏が「崎門学報」の中で「時論」として皇位継承について書かれている。その記事はこちらから見ることができる。わたしも皇位継承についてはこのブログで何度か書いたことがあった。折本氏に触発され、わたしも皇位継承について書いてみようと思う。
まずわたしの意見と折本氏の意見の相違点を整理しておく。
同じ点
・安倍内閣がわが国の宰相として皇位継承の問題に方策を講じないのは怠慢の極みである。
・現状のままでは皇位継承は大変危機的状況にある。
・わが国は有史以来男系の皇室によって継承されてきており、女系に皇位継承範囲を広げるべきではない。
違う点
・戦後臣籍降下した11宮家を皇籍に復帰、場合によっては養子に迎えることで皇位継承させるべき。
⇒あってはならないことである。
同じ点は重複するので説明するつもりはない。違う点だけ述べておきたいと思う。
もっともこの問題はいくつかの事項を指摘するだけで了解しうることである。
1.戦前の典範においても「旧皇族」は臣籍降下されることが決まっていた。
2.「旧皇族」でご存命の方はいらっしゃらない。皇位継承の議論で取り上げられているのは「旧皇族の子孫」である。
3.「旧皇族」よりも今上陛下に男系として血統が近い方がいる。
4.3.により「旧皇族」が皇位継承者になりうると考えるのは「旧皇族」が明治天皇と母系でつながっているということを根拠とした女系的発想である(したがって女系論者こそ「旧皇族」の皇位継承を主張するのが自然である)。
1.2.はよく指摘される事項なので、3.と4.を解説したい。
3.の「旧皇族」よりも現皇室に男系として近い人物。それは近衛家などである。戦国時代~江戸初期に天皇家から養子に行っているのである。「皇族に養子を迎える」ことを主張するならば「皇室から養子に行った方」も考えなければならないだろう。まさか近衛家に皇位継承資格があるなどとは言うまい。そうするとなぜ近衛家でなく「旧皇族の子孫」が対象となるのだろう。わたしには「母方が明治天皇に繋がっているから」という理由しか思い浮かばないのである。これは立派な女系継承ではないだろうか。
もっと言おう。「旧皇族の子孫」に皇位継承資格があるというのならなぜ細川護熙氏には皇位継承資格はないのだろうか。それともあるとお考えなのだろうか。細川家は源氏の家柄で、平安時代にまで遡れば皇室につながる家柄である。なぜ室町時代はよくて平安時代はダメなのか? 武田信玄に皇位継承資格はあったのか? 吉良上野介や今川家、島津家にはあるのか? 蘇我氏は武内宿禰の子孫とも言われるが、皇位継承資格はあったのか?(現代の歴史学では怪しいと言われているが) 小野妹子は敏達天皇の皇胤だとか孝昭天皇の子孫とも言われるが、皇位継承資格はあったのか? そしてなによりも、足利高氏や足利義満に皇位継承資格はあったのか? 大げさな言い方をすれば、これは日本史の破壊ではないだろうか。意外にも「男系男子」というだけでは皇位継承候補者は日本史上にあまりにも多いのである。
わたしは公にするかしないかはともかく、現皇族に側室を持ってもらうことでしか行為の安定継承は成し得ないと考えている。
なお、皇位継承について陛下のご聖断を仰ぐべきという意見があるが、臣下の間で議論百出して煮詰まったうえで陛下にご聖断を仰ぐというのであれば賛成であるが、大した議論もせず陛下に決めて戴こうというのであれば、これは臣下たる者の責任の放棄ではないかと思う。
私は側室制復活論者ですが、旧皇族の子孫を復籍させるべしという主張が上がるのは明治天皇の血を引いているという点以外にもう一つあると思います。
それは旧皇族およびその子孫は「伏見宮家」の男系子孫という点です。
この伏見宮家は、代々時の天皇や上皇の「猶子」となることで天皇から親王宣下を受けてきた世襲親王家で、長い歴史があります。
また伏見宮家は元来「持明院統の嫡流」であった栄仁親王を初代とし、伏見宮家から皇室に入った後花園天皇から「永世伏見御所と称すべし」との勅許を受けたために、時の天皇との親等が離れているにも関わらず、世襲親王家として続いてきた特殊な家でもあります。
ゆえに養子案が検討される際に、伏見宮系男系子孫復籍もまた取りざたされるのではないでしょうか。
>2.「旧皇族」でご存命の方はいらっしゃらない。皇位継承の議論で取り上げられているのは「旧皇族の子孫」である。
北白川道久氏はご存命の旧皇族ではありませんか?
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E7%99%BD%E5%B7%9D%E9%81%93%E4%B9%85
そういえば伏見博明氏も存命の旧皇族ですね。
他にも皇籍離脱時に宮家当主ではなかった「元皇族」には未だ存命の方もいらっしゃるようですが。
中田耕斎
Nさん
名前はない さん
ご指摘ありがとうございます。私の勉強不足でした。
まだまだ至らぬ人間ですので誤り等ございましたらこれからもご指摘いただけましたら幸いです。
しかし中田耕斎さんは、皇位の安定継承をなしうるには公にするかしないかはともかく現皇室に側室を持ってもらうしかない、というお考えのようですが、着床前診断(PGD)によって産み分けができることはご存知ですか?
日本では生命の選別に当たるという倫理上の問題から、着床前診断による男女産み分けは認められていませんが技術的には可能です。
着床前診断を皇室に認めれば、現在の一夫一婦制度下でも男系男子を確実に確保できますし皇位の安定継承にも役立ちますが、この方法についてはどうお考えでしょう。
Nさん
そういうことについてはあまり詳しくありません。
ですのであまり理論だったことは言えませんが、反対です。
皇位継承についてはともかく、女性皇族にも立派な役割があります。その意味でまさに生命の選別に当たり、皇室であろうとなかろうと許されることではないと考えます。
なるほど。ですが現在日本では安易な人工妊娠中絶が横行しており既に「生命の選別」は行われています。
更に出生前診断で出産前に胎児異常を発見できるようになるなど、生殖医療も発達してきましたから、ますます中絶など生命の選別を行う人は増すでしょう。
ゆえに着床前診断による産み分けを否定しきるのは難しく、皇室やその側近たちは好むと好まざるとにかかわらず着床前診断も真剣に検討せざるを得ないのが現状だと思います。
中田耕斎さんの仰るように倫理が崩壊しているこの現代に、側室制復活の検討や着床前診断の反対を唱えるからには、中田耕斎さんご自身の性倫理観・生殖倫理観というものもいずれ詳しく聞きたいものです。
Nさん
性倫理観・生殖倫理観とは難しいですが一夫一妻制や自由恋愛はそれほど大事なのか? とは思います。
あと核家族化した今の「家庭」にさほど重んずべき価値はないのでは? とも。
正直説明を求められてもうまく言えませんが、どれも近代の欺瞞的産物という感じ…。
あくまでも思想に至っていない、感覚的なものですが。
一般的な男女産み分け技術でも男子の場合は8割近くの確率で成功するみたいですね。
問題は、悠仁親王に妃がくるかですがブログ主さんが推す誇り高い旧華族の家は何故、誰も悠仁親王に妃を差し出すと言わないですかね?
華族の身分がなくても妃を差し出すと事ぐらいできるはずですがね。
華族の身分をもらわないと妃を差し出さないていう発想なんですかね?