『熱田本社末社神体尊命記集説』と尾張氏


 天野信景は、元禄六(一六九三)年に『熱田本社末社神体尊命記集説』を著している。同書は、まず熱田社人の著した『熱田本社末社神体尊命記』の記事を掲げ、これに対する関係文献の記事を掲げて、その論拠を示して考証を進めた上で、自説を述べている。当時、熱田社の事蹟は諸説紛糾して定まらず、古来の社伝と相違するものが多かったことが、背景にある。
 同書の特徴の一つは、社家尾張氏の古伝を重視している点にある。同書奥書によれば、信景は親戚関係にあり、懇意にしていた祝師田島仲頼から尾張氏の古伝を聞き、それに基づいて書き記している。
 同書に示された尾張氏系図略を以下に示す。

『熱田本社末社神体尊命記集説』掲載の尾張氏系図略

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