国家が守るべき価値とは何か(一)


我が国が取り組むべき第一義的課題は、目先の経済政策ではなく、人倫の根本である「三綱五倫」の道義を回復することである。三綱とは、君臣・父子・夫婦の道義であり、これに長幼と朋友の道義を付け加えたのが五倫である。具体的に君臣の義、父子の親、夫婦の別、長幼の序、朋友の信の五つである。君臣の義は君に対する忠、父子の親は子の親に対する孝を意味するが、「忠ならんとすれば孝ならず、孝ならんとすれば忠ならず」というように、ときとして君臣父子の忠孝は相反することがある。しかし畏くも天皇を戴く我が国の国体は忠孝一致、これに夫婦を加えた三綱の道義も我が国の国体においては三位一体を成している。

すなわち、夫婦は男女の交りによって子を生み、父子の関係の基となる。そして父子はまた世代を超えた生命の継承によって祖先崇拝の観念を生み出す。さらに、祖先崇拝は、我が国民の共通の始祖である天照大神とその直系の御子孫にあらせられる天皇への尊崇の観念を生み出すのである。このように、君臣父子夫婦の道義における三位一体こそ、我が国体の精華であり、国家が守るべき第一義的価値である。

しかるに、戦後我が国は、アメリカ由来の個人主義ならぬ利己主義的な価値観によって、この三綱の道義を破壊されてしまったのであり、この道義的頽廃こそ、国力衰退の根本原因である。以下にそのことを論じる。

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