金正男暗殺で、北朝鮮の残虐性が改めて浮き彫りになったが、拉致問題を抱える我が国は他人事ではない。安倍晋三氏はかねてから拉致問題と深く関わって来ただけに、国民の多くが安倍内閣の発足による拉致問題の進展を期待したが、残念ながら、これまで一歩も先に進んではいない。政府はやる気があるのか。
北朝鮮は、全ての拉致被害者の再調査を約した2014年のストックホルム合意を一方的に破棄し、核・ミサイル開発に邁進している。これに対して、我が国政府は独自の経済制裁を課しているが、全く効果がないことは、最早誰の目にも明らかだ。ただ、北朝鮮に軍事制裁を課したり、内部体制の崩壊に乗じて北朝鮮に自衛隊の特殊部隊を送り、拉致被害者を強制奪還するシナリオも現実的ではない。
しかし、少なくとも我が国の主権の範囲内で、北朝鮮による対日工作の拠点である朝鮮総連を違法化して資産を没収し、関係者を国外追放し、在日朝鮮人によるパチンコ特権を廃止する等の対抗措置を講じることは可能である。それすらもしないなら、安倍首相は拉致問題を政治利用したと言われても仕方ない。