大義なき解散


安倍首相は今回の解散の大義名分について、消費増税によって生まれる税収の一部を、高齢者福祉のみなず、「全世代型社会保障」と称して、幼児教育の無償化や若者の就学支援にあてるということへの信を国民に問うと述べていたが、そんなことで一々解散していたら幾ら選挙してもきりがない。また北朝鮮の脅威が迫る中での解散については、北朝鮮の脅威によって我が国の民主主義が左右されてはならないと言っていたが、こんな最中に政局目的の選挙をすること自体、民主主義の弊害以外の何物でもない。

安倍首相は、馬鹿の一つ覚えの様に、アベノミクスで雇用が改善し、株価が上がったと強弁するが、そもそも少子化で就労人口が減っているのだから、雇用が改善するのは当たり前の話であるし、株価が上がっているのは、日銀の金融緩和による官製相場であって、庶民は誰一人株高の恩恵など受けていない。儲けるのは一部の外資や株主だけ、労働者の実質賃金は、今の安倍政権の2013年から2016年の4年間、いずれも過去最低を記録している。政権発足から五年経つにも関わらず、当初の最重要課題であったデフレからの脱却は未だ実現出来ていない中で増税すれば、デフレの主要因とされる消費の低迷は、余計悪化し、景気回復は立ち遅れる。消費増税による税収の使途を変更する位なら、消費増税そのものを止めるべきだ。

今回の解散は、北朝鮮という対外的脅威を利用して、自らの内政における失敗を隠蔽し、政権の延命を図るための解散に他ならない。

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