思うに、戦後我が国がアメリカから独立するチャンスは三回あった。一つ目は、サンフランシスコ講和によって我が国が名目上の独立を回復したとき、二つ目は、ニクソンショックによってアメリカの覇権が相対的に衰退した時、そして三回目は、米ソ冷戦の終結時である。
サンフランシスコ講和で米国による占領統治が解除された時点で、我が国は占領下で制定された憲法を廃して、大日本帝国憲法を復活するか、国体に根差した自主憲法を制定すべきであった。またニクソンショックに際しても、我が国は世界的な米軍撤退の気運に乗じて、沖縄海兵隊を自衛隊戦力で代替し、自主防衛に舵を切るべきであった。そして米ソ冷戦の終結は、ソ連という共通の敵の消滅によって、我が国がアメリカから独立する最大のチャンスであった。
しかし、一回目と二回目のチャンスは、米ソ冷戦下における国際共産主義の脅威を理由に見送られ、三回目も、冷戦が終わったのでようやく独立できるかと思いきや、今度は日本を、ソ連なきあとの仮想敵に据えたアメリカによる対日攻勢が苛烈化し、我が国は今日に至る際限のない対米従属の深みにはまってしまった。
こうしたなかで、世界覇権を放棄しようとしているトランプ大統領が出現したことは、我が国にとって天佑神助であり、独立のための最後のチャンスかもしれない。もしいま、このチャンスを活かして、米軍に替わる抑止力を構築しておかなければ、東アジアの覇権はシナに掌握され、我が国はシナをアメリカに次ぐ新たな宗主国として迎えざるを得ないことになる。シナの脅威を理由に、アメリカへの従属を正当化するのは、国民を欺く売国奴の論法だ。否、シナの侵略を絶対に阻止するためにこそ、いまこそアメリカから独立せねばならないのである。