第二回保建大記勉強会要旨


   平成二十九年二月二十五日、浦安で崎門研第二回保建大記の勉強会を開催した。当日は折本代表、坪内顧問をはじめ有志八人が参集した(一名スカイプによる参加)。前回は平泉澄の解説を中心に学んだため、本文としては実質今回が初めてとなる。
   保建大記とは、江戸時代の崎門派栗山潜鋒が記した書で、保元から建久年間までの重要事を記したものである。この時代に源頼朝をはじめとした幕府政治が出現し、皇室の衰微してしまったことを、朝権回復を目指す観点から記したものだ。潜鋒は水戸に仕えたため崎門学と水戸学との交点ともいえる書である。テキストは杉崎仁編注『保建大記打聞編注』を使用した。『保建大記打聞』とは江戸時代の崎門派の谷秦山が栗山潜鋒『保建大記』を講義したのを記録したもので、それを水戸史学会理事である杉崎氏が編注したものである。第二回保建大記勉強会では、同書一ページから九ページまで輪読した。
   内容としては、秦山の「日本の人にして道に志あるからは、日本の神道を主にすべし」という言葉から始まる。儒書の講究は神道を羽翼するものだという。こうした神儒兼学の態度は崎門学の大きな特徴といえる。秦山は今の儒者はまるで駄目だが、栗山潜鋒『保建大記』は素晴らしく、「是ほど珍重なことはない」という。頼朝、義満、信長みな「覇府」であるという認識を示し(江戸幕府を暗に批判している)、君臣がともに道を正すことが重要だとした。
(記:事務局 小野)