谷秦山『保建大記打聞』輪読会開幕


平成26年2月4日、有志で第一回『保建大記打聞』輪読会を開催いたしました。『保建大記』は、山崎闇斎と浅見絅斎に師事し、後に徳川光圀に招聘され、水戸学中興に大功のあった栗山潜峰の著作であり、『打聞』とは、潜峰と同じ崎門に属する谷秦山が『保建大記』を解説した著作です。『大記』は、元禄二年(1689年)の発刊、我が国における保元、平治の乱以降の歴史を説き、その紆余曲折のうちに不変の人倫を見ることによって、武家台頭による皇威失墜の原因を洞察いたしております。また、それは取りも直さず、徳川政治に対する根源的な批判と、いつの日か訪れるであろう皇威回復への庶幾に発するものでありました。崎門学では、『保建大記』を重要な文献に位置付け、若林強斎先生も、同著を崎門学を学ぶ上で、北畠親房の『神皇正統記』に比肩しうる必読文献であると述べておられます。(崎門学の必読文献

ちなみに本輪読会では、テキストとして『保建大記打聞編注』(杉崎仁編注、平成21年、勉誠出版)を使用することに決定し、初回では、まずこのテキストの冒頭に収録されている平泉澄氏の論説(「『保建大記』と『神皇正統記』」)を途中まで読み進めました。