大石凝真素美の弟子水野満年は、大正15年に『大正維新に当りて』(国華教育社)を刊行した。以下、目次を掲げる。
緒言
一 先づ他山の石で玉を磨け
二 大日本帝国の使命
三 和光同塵の皇謨
四 国是と歴代の皇謨
五 国体の根本義
六 根本覚醒の要
其二
其三
七 皇国興隆の大道
八 神聖なる祖宗御遺訓
九 神聖遺訓の内容
十 神聖遺訓古事記に対する学者の誤解
十一 日本の大正維新は即世界の大正維新なり
十二 敬神崇祖と国民皆兵の本義
十三 神聖遺訓による内治外交の範畴
十四 大正維新の経綸
十五 土地人民奉還の上表文
附「遂次発表の書目」
著者 |
タイトル |
出版社 |
刊行年 |
備考 |
佐藤信淵 |
『復古法概言』 |
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1845年刊行 |
(『日本経済大典』第19巻、啓明社、昭和4年) |
大国隆正 |
『本学挙要』 |
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1855年 |
(『日本思想大系 50』岩波書店、昭和48年) |
佐藤信淵 |
『経済要録』 |
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1859年刊行 |
(滝本誠一編纂『日本経済大典』第18巻、啓明社、昭和4年) |
福住正兄記 |
『二宮翁夜話』 |
報徳社 |
明治17-20年 |
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遠藤無水 |
『財産奉還論』 |
遠藤友四郎 |
大正8年 |
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水野満年 |
『現人神と日本』 |
霊響社 |
昭和5年 |
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長沢九一郎 |
『生産権奉還』 |
先進社 |
昭和7年 |
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永井了吉 |
『皇道経済概論』 |
日本主義評論社 |
昭和8年 |
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神野信一 |
『日本主義労働運動の真髄』 |
亜細亜協会出版部 |
昭和8年 |
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昭和神聖会 |
『皇道経済我観』 |
昭和神聖会 |
昭和9年 |
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作田荘一 |
『経済生活に於ける創造者としての国家』 |
日本文化協会 |
昭和10年 |
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栗原白嶺 |
『金銀為本経済の世界的行詰りと皇道経済』 |
青雲荘 |
昭和10年 |
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山口鋭之助 |
『世界驀進の皇道経済』 |
本学会 |
昭和13年 |
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難波田春夫 |
『国家と経済 第三巻』 |
日本評論社 |
昭和13年 |
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田辺宗英 |
『皇道経済の確立』 |
報国新報社 |
昭和13年 |
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田村謙治郎 |
『日本主義経済学』 |
東風閣東京事務所 |
昭15年 |
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石川興二 |
『新体制の指導原理』 |
有斐閣 |
昭15年 |
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古川義春 |
『報徳生活の実践 : 肇国の精神に基く勤労・分度・推譲』 |
少国民社 |
昭和17年 |
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皇道経済研究所 |
『日本主義労働』 |
目黒書店 |
昭和17年 |
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岡本広作 |
『日本主義経済新論』 |
増進堂 |
昭和19年 |
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茂木清吾 |
『皇道経済学』 |
文松堂書店 |
昭和19年 |
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田崎仁義 |
『皇道経済』 |
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(『史蹟叢談』大阪染料商壮年会、昭和19年) |
大石凝真素美の「真訓古事記」について、大宮司朗氏は次のように書いている。
〈本篇は翁最晩年の著述である。水野満年翁宅において本書を脱稿一ヵ月後に微恙を覚えられ、療養に努めるも寄る年波のためか回復渉々しからず、翌々大正二年に逝去されるのである。そのため翁にとってなお不満とせられるところがいくつかあったようであるが修正の機会はなかった。
とはいえ、本篇こそは翁畢生の大著である。翁によれば『古事記』は無上の事実が八通り収められている極典であり、従ってその研究分野も八通りに大別される。(一)歴史、(二)天文、(三)地文、(四)暦術、(五)人類成立之極元、(六)日本語学、(七)天造之神算木の極典、(八)世界の大通義。本書は特に(六)をポイントとして翁独得の奇想天外から来るともいうべき解釈を縦横無尽に展開する雄篇である。『天津神算木之極典』末尾の一文からは、翁が稗田阿礼の再生との自覚を持っておられたことが窺えるが、とすれば、今の世のため本篇を最後に書き残し、人類の指針の大度衡とすることこそがその再生の使命だったとも言えよう。それ故種々指摘さるべき事柄は多いが、ことに注目されるのは、太古より伝来したとされる言霊図表「ますみの鏡」の玄義を初めて明らかにしていることである。
「日本語は円明正朗なる声が七十五声有る也。此の七十五声を写真に正列したる鏡を太古より真須美と云ふ也。此の真須美と日本全国の地体と密合して居る也。故に人の体と密合して居る也。又人の心の全体と密合して居る也」
かく断言し、『古事記』の解と絡めて詳説詳述しているのであるが、この師説を受けた水野満年翁は日本の地理と真須美の連関を示す図を書き残されており、一時三五(あなない)教の人々の間に流布されていたことがあり、私自身も見た記憶がある〉「大石凝真素美全集解題」
大石凝真素美の「大日本言霊」について、大宮司朗氏は次のように書いている。
〈徳川末期の言霊学者中村孝道の門人たりし祖父望月幸智より継承された言霊の奥義を基礎とし、刻苦研究すること数十年、明治三六年春、翁七二歳の時に大成されたのが、この『大日本言霊』であり、大正二年には水野満年により天覧にも供されている。直筆原本の標題には『大日本皇国言霊の巻』とある。
本篇において翁は、日本語の清音、濁音、半濁音の七十五声の音韻に秘められたる音義を明示し、これによって宇宙開闢以来の玄理を闡明したと言えよう。
「真素美の鏡」の図ならびに至大天球、地球の御樋代としての六角切り子の玉の上に示された言霊の玄意は単に文字のみをもって伝えられるものに非ずして、密教における曼陀羅のごとく観想の対象としての側面を有することに留意されたい。例えば「真素美の鏡」を注視してみれば次のようなことが自ら明らかになろう。
七十五音が普通の五十音とは違った形で配列されている。最下段にア行、中段にサ行、最上段にカ行が置かれ、そのうち「ア」「ウ」「イ」「サ」「ス」「レ」「カ」「ク」「キ」の九音が「九柱」として特別の意味を持つことに気付く。最下段のア行は最も重い音であり、最上段のカ行が最も軽い音である。サ行が中段にきて、全体の中心に「ス」がある。「ス」は「すめらみこと」や「すべる」の「ス」であり、万物を統合する働きがあることが感得せられる。この七十五段の「音」の階程は翁の考えによれば、宇宙存在の階層秩序であり、図中の「音」の相対的位置関係から七十五音それぞれの持つ「意味」というより「力」を演繹できるのである〉(「大石凝真素美全集解題」)
水野満年が、大正12年から14年にかけて刊行した『大石凝翁全集』。
第一巻 天地茁廴貫きの巻
第二巻 三種神器の御謂礼 仏説観弥勒下生経(上)
第三巻 仏説観弥勒下生経(下) 弥勒出現成就経
第四巻 大日本言霊
第五巻~第八巻 天造神算木運用秘書
第九巻~第一二巻 真訓古事記 大石凝真素美先生伝
道義国家日本を再建する言論誌(崎門学研究会・大アジア研究会合同編集)