『維新と興亜』第13号に掲載した、つばさの党代表・黒川敦彦氏「反グローバリズムを第一に掲げる理由」の一部を紹介いたします。
■「ユダヤ・マネーをぶっ壊す」
── つばさの党は、反グローバリムを強く訴えています。
黒川 我々は、反グローバリムの主張をデフォルメするため、動画などでは「ユダヤ・マネーをぶっ壊す」という表現を敢えて使っています。もちろんユダヤ・マネーだけが悪いわけではないのですが、「外資勢力の中心にいるのがユダヤ資本家である」という主張は決して陰謀論などではなく、事実だと考えています。
日本の政治経済をここまで破壊した元凶は、外資勢力の手先に成り下がった政治家、経済人たちが、日本の法律、制度を変えて国の富を外資に売り渡してきたことです。だから、我々は反グローバリズムを第一に掲げているのです。
── つばさの党は中央銀行制度の抜本的改革を主張しています。
黒川 現在の金融制度の中心にあるのが、中央銀行制度であり、それを牛耳っているのがアメリカの連邦準備制度理事会(FRB)です。そして、FRBを作ったのは、モルガン、ロックフェラー、ロスチャイルドなどの国際金融資本家たちです。彼らは、ちょっと会議を開けば、何百兆円といったお金を発行できるわけです。そして、発行したお金を身内の銀行で回すわけです。したがって、国際金融資本家から、通貨の発行権を民衆の手に取り戻さなければならないのです。
■アメリカの属国状態から脱却せよ!
── つばさの党は、対米自立を主張しています。
黒川 戦後76年も経っているにもかかわらず、いまなおアメリカの属国状態が続いているから、日本の政治家、経済人はアメリカの言いなりなのです。常にアメリカの顔色を窺い、アメリカに何か言われれば、法律も経済も捻じ曲げてしまう。アメリカに言われれば、郵政民営化を進めて郵貯マネーをアメリカに貢ぐ。さらに、公共インフラや一次産業までも、外国企業に売り渡してしまう。
こうした状況を変えるためには、反グローバリズムと対米自立を同時に訴えなければならないと考えています。日本がアメリカの属国状態から脱却し、アメリカと対等の関係になるためには、まず日米地位協定などの不平等条約を抜本的に改定しなければなりません。対米自立を唱えることは決して反米ではなく、主権国家として当然のことです。

『維新と興亜』第13号に掲載した祖国再生同盟代表・木原功仁哉氏「国際金融資本を支える賭博経済を撲滅する」の一部を紹介いたします。
■世界を牛耳る国際金融資本
── 祖国再生同盟は、基本政策の第一に「賭博経済の撲滅」を掲げています。
木原 国際金融資本などの富豪たちが世界中の政治家を意のままに操り、政治的・経済的に世界を牛耳っている現実が明らかになっています。そして、国際金融資本の横暴によって、我々日本人の財産だけではなく、生命や健康までもが脅かされているのです。
そうした国際金融資本を支えているのが、賭博経済なのです。金融経済の規模は、実体経済の10倍とも100倍とも言われています。その実態は、為替、株価の変動を予想して、それによって利ざやを稼ぐことです。「賭博行為」と何ら変わりません。
「賭博経済」は、犯罪的な経済格差を生み出しました。マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏など世界の大富豪8人の資産が、世界の富の半分を占めています(平成29年)。国際金融資本の力の源泉は、通貨発行権です。彼らは大正2(1914)年に、アメリカ合衆国憲法に反して政府の通貨発行権を奪取し、アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)を設立して巨大な利権を手に入れたのです。
国際金融資本は、通貨発行権という「打ち出の小槌」を絶対に手放そうとせず、自分たちに逆らおうとした政治家たちをことごとく抹殺してきました。例えば、アメリカのケネディ大統領は、1963年にFRBから政府に通貨発行権を返還させようとして、大統領令を発出して政府紙幣を復活させたものの、同年に暗殺されました。
賭博経済を撲滅するためには、我々は通貨発行権を国に返還させるとともに、証券取引所・商品取引所を閉鎖し、貿易決済などの実体経済以外の為替取引を禁止すべきだと訴えています。

『維新と興亜』第13号に掲載した新党やまと代表・小林興起氏「主権を踏みにじられても黙っているのか」の一部を紹介いたします。
■属国状態では主体的に政策を決められない
── 新党やまとはアメリカからの自立を正面から訴えています。
小林 5月22日に、バイデン大統領が日本を訪問しました。ところが彼は、米軍の横田基地から入国してきたのです。なぜ、表玄関から入国してこないのか。主権国家として、こんなことを認めていてはいけない。我々はアメリカの属国ではないはずです。我々新党やまとに議席があれば、即座に国会で政府を厳しく追及しますよ。ところが、政治家もメディアもは「怪しからん」という声を上げません。日本人は主権国家としての誇りを失ってしまったのでしょうか。このような非礼な方法で入国した人間を、天皇陛下に面会させたのも間違いだったと思います。
日本に対する主権侵害が罷り通っているのは、日米地位協定が存在するからです。今年1月には、沖縄で「オミクロン株」の市中感染が拡大しましたが、その原因は杜撰な米軍の検疫です。地位協定によって、米軍には日本側の検疫が適用されないのです。このような状況では、日本政府が国民の生命と安全を守ることさえできません。しかし、「地位協定を抜本改定しよう」という議論は全く起こりません。もはや、わが国には保守政党は存在しないということです。現在の「保守」は、中国や韓国に対しては大声で「怪しからん」と言うのに、日本を属国扱いしているアメリカに対しては、何も言えないのです。日本が属国である限り、日本政府が主体的な政策を進めることなどできません。小泉政権以来、日本は新自由主義を推し進めてきましたが、そうした政策もアメリカの対日要望書によって決定されてきたのです。

『維新と興亜』第13号に掲載した新党くにもり共同代表・安藤裕氏「政府の赤字はみんなの黒字」の一部を紹介いたします。
■いまや自民党は売国政党だ
── 安藤さんは自民党と決別し、今回新党くにもりから参議院議員選挙に出馬します。
安藤 今回の選挙では、「保守とは国民生活を守ることだ」ということを強く訴えたいと思います。コロナ禍は一種の戦争です。本来はこうした事態になれば、政府が総力を挙げて国民の生命、生活を守らなければなりません。それが、本来の「保守」のあるべき姿です。しかし、自民党政権には国民の生活を守ることができませんでした。
コロナの影響で困窮している人たちに対して、きちんとお金を出すだけで問題は解決したのです。政府が真水で100兆円の財政出動を決断し、日本全国・全業種について「粗利補償」をすれば、国民は救済できました。ところが、自民党政権はそれをしなかった。国民を見捨てたということです。
現在の日本の最大の問題は、国民の貧困化です。だから、我々は貧困撲滅を掲げて選挙を戦います。貧困化すれば、自分の生活に精一杯になり、国のことや社会のことを考える余裕さえなくなります。「国がどうなろうが、知ったことではない」という考え方が蔓延しかねません。つまり、国民の貧困化を放置することは、国民が国を愛する力を奪い、国家を弱体化させることなのです。
しかも、日本企業が救済を受けず弱体化していけば、中国をはじめとする外資の餌食になります。つまり、コロナの影響を受けた企業を守ることは、安全保障の問題でもあるということです。自民党政権にはそれがわかっていないです。いまや、中国企業は日本の中小企業や不動産を買いたい放題。しかも、岸田首相は投資家に向けて「Invest in Kishida(岸田に投資を)」などと呑気に語っているのです。まさに「売国」ですよ。もはや自民党は保守政党ではないということです。
新党くにもりは、「国を護り、民を護り、国民を保守する」政党です。国民が互いに助け合い、守り合う、温かな「日本人の心」を大切にする政治を目指します。

『維新と興亜』第13号に掲載した参政党事務局長・神谷宗幣氏「新しい国際秩序を日本が構築するべきだ」の一部を紹介いたします。
■日本は経済戦と情報戦でボロ敗け
── 参院選で最も訴えたい政策は何ですか。
神谷 「参政党には具体的政策が少ない」というご指摘を受けることがありますが、我々が何よりも重視しているのは、テレビや新聞が伝えない政治的な問題を国民に伝えたいということです。その上で、国民の皆さんに日本の将来について考えていただき、一緒に政策を固めていきたいと考えているのです。
我々は、三つの重点政策の一つとして「子供の教育」を掲げています。明治維新以降、西洋の教育が導入され、管理教育が強まったと認識しています。そうした管理教育を改めて、江戸時代のように子供の個性を重視した探求型の教育制度に変えていくべきだと考えています。同時に、敗戦後に刷り込まれてきた自虐史観を一掃して、自尊史観の教育に変えるべきだと訴えています。
── 重点政策の一つ「国のまもり」では、「日本の舵取りに外国勢力が関与できない体制づくり」を掲げています。
神谷 この30年間、日本経済が成長しなかったのは、日本人の能力が低下したからではありません。日本の経済の仕組みを外国勢力に都合よく作り変えられ、日本人の富が外国の資本家に流れているからです。日本は経済戦で完敗したということです。外国勢力によって作り変えられた経済の仕組みを崩さなければ、日本経済は立ち直らないし、日本の国防も成り立ちません。そのために、我々は、外国資本による企業買収や土地買収が困難になる法律の制定を訴えています。経済戦だけではなく、情報戦においても日本はすでにボロ敗けしています。このような状態では、日本が実際の戦争で勝利することはできません。

『維新と興亜』第13号に掲載した維新政党・新風代表・魚谷哲央氏「戦後体制を強化した安倍政権」の一部を紹介いたします。
■戦後体制の打破を正面から掲げる唯一の政党
── 参院選で最も訴えたいことは何ですか。
魚谷 我々維新政党・新風は、戦後体制の打破を正面から掲げる唯一の政党です。戦後体制打破なくして、日本は真の独立主権国家たり得ません。右派的な主張をする政党は「保守政党」として括られますが、我々は、自分たちが保守政党だとは考えていません。あくまでも我々は「維新政党」なのです。
わが党は、「基本政策大綱」序文で、「大東亜戦争後の日本の戦後処理を決定したヤルタ密約とポツダム宣言によつてもたらされた戦後体制を打破し、正統かつ常識的なる国家体制の回復を第一義として、皇室を中心とした自由で平和かつ豊かな社会を築くことを目的としてゐる」と謳っています。
我々の立場は、戦後体制の枠内にある自民党右派の立場とは根本的に異なります。平成18(2006)年に発足した第一次安倍政権は、「戦後レジームからの脱却」を掲げました。その時、「保守派」は安倍総理に期待しましたが、我々はその限界を見抜いていました。
平成19年7月の参議院選挙で、我々は「安倍さんの言葉と我々の言葉は似ているが、実態は真逆です。安倍総理が言う『戦後レジームからの脱却』は、戦後体制を肯定し、それを強化していく方向です」と主張しました。実際、安倍政権が行ったことは、日本の自主性を高めることなく、日米安保体制を強化することでしかありませんでした。第二次政権では、「戦後レジームからの脱却」自体が封印されてしまいました。
名の知れた政治家が保守的な姿勢を示すと、「保守派」は安易にそれに乗ってしまいますが、結局戦後体制そのものである自民党の政策に戻ってしまいます。
── 今回の参院選では、保守を標榜する新しい政党がいくつか参戦します。
魚谷 驚くほど多くの「保守政党」が出ていますね。過去にも新しい保守政党が注目を集めたことはあります。しかし、強固な思想性に支えられなければ、結局自民党右派的な流れに飲み込まれてしまいます。

以下、吉村伊平氏の許可を得て、同氏の「世界人類の宝珠・日本」を転載させていただきます。
こんにちは。吉村伊平でございます。皆様の前でお話をさせていただく事を大変光栄に思いますと共にこの機会を与えていただきました国柱会の皆様に心から御礼申し上げます。
秋篠宮悠仁親王殿下の御降誕、誠におめでとう存じます。皆様と共に改めて寿ぎたく存じます。
本日は明治天皇のお誕生日です。明治節でございます。明治天皇は明治大帝とお呼ばれになりました。国際的な呼び方でしょう。田中智学先生は「国体の世界的表現者たる明治天皇」と仰いました。明治維新より二十九年後の日清戦役そして三十八年後の日露戦役に勝利し、又不平等条約改正をも達成されて日本は明治天皇を戴く東洋の君主国として名をあげたのであります。
さて、私達人間は一人では生きてゆけないものでございます。集団として生きて行かざるを得ないのであります。
最も安定した集団は円を描きます。輪(和)となります。即ち球となります。宇宙も球型であります。球には必ず中心があります。宇宙の中心は大神であります。球を日本に例えれば中心は天皇陛下であります。即ち日本人の集団、日本国の中心は天皇陛下であります。世界に王国はたくさんあり、国王、女王もたくさんおられます。
我が国の天皇陛下は我々国民を「オオミタカラ」とお呼びになります。他の国の皇帝とかキング、カイゼル、クイーンはお呼びになりません。我が日本国の天皇陛下だけであります。これが有難いところであります。アリガタイのであります。
明治天皇の御製に
罪あらば我を咎めよ天つ神
民はわが身の産みし子なれば
千萬の民の心ををさむるも
いつくしみこそ基(もとひ)なりけれ

ここに一君万民、君民一体の国柄が表わし尽されております。
日本の文化と言えば茶道、華道、能、狂言とワビサビの香り高いものがたくさんありますが、天皇こそ日本の最高の文化であります。「国体の本義」と言う書の中に「日本は一大家族国家である」と書いてあります。
親が子供にそそぐ愛は無償の愛であります。身を捨てて仁を為すと言いますが、我が子に対して身を捨てて愛をなす気持を経験された方もここにも多くおられると思います。
そして子は又家族はその恩に報いようとする。親から子、子から親へと滞りなく思いは通ずるものであります。 続きを読む 吉村伊平氏「世界人類の宝珠・日本」 →
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《目 次》
【特集】日本よ国家たれ 主権回復70年 沖縄復帰50年
「守るべき日本」を浸食してきたアメリカと市場(荒谷 卓)
「唯一の被爆国」こそ核武装せよ! 「自主防衛」構築への「国家意志」明徴(堀 茂)
主体的外交を支える非同盟路線(本誌編集部)
本土が沖縄に基地を押し付けている!(中村之菊)
【特集】農業は国防だ! 政商たちが歪める農政
日本でも餓死者が出る(鈴木宣弘)
遺伝子組み換え食品がもたらす日本人の絶滅(小野耕資)
【対談】「親日の台湾」という幻想を捨てよ─TSMCの正体(深田萌絵×稲村公望)
【巻頭言】国家の根幹を揺るがす国有林の民間開放(坪内隆彦)
●時論 水道民営化論者は天皇陛下のおことばに耳を澄ませ(折本龍則)
●時論 新自由主義者の次の目標はスーパーシティだ(小野耕資)
大川周明は不敬なのか(林 雄毅)
「畏怖」や「愛情」がない片山杜秀氏の右派思想論 藤田東湖と西郷南洲⑥(山崎行太郎)
世界政治思想史上の奇跡「百姓の富めるを喜び給ふの詔」(西村眞悟)
「大日本帝国憲法復元改正」は五十年以上、取り組んでいる重要な運動です。(川瀬善業)
現代に甦る石原莞爾 ③ ウクライナ事変と世界最終戦論(金子宗德)
高風無窮 ② その道を好む(森田忠明)
愛郷心序説 ⑧ 民のかまどの経済学を実践せよ(杉本延博)
私にとっての憂国忌五十年 ②(玉川博己)
いにしへのうたびと ④ 大伴家持の美意識と苦悩 上(玉川可奈子)
真正護憲論(新無効論)完(南出喜久治)
「効率万能」「個人主義」を超える日本古来の美意識(福山耕治)
崎門学に学ぶ 『白鹿洞書院掲示』浅見絅斎講義 ①(三浦夏南)
【書評】河原仁志 『沖縄をめぐる言葉たち』
活動報告
読者の声
編集後記

令和4年5月31日に大東会館で開催した稲村公望氏特別講演会(『維新と興亜』主催)の動画「ダボス会議の秘密①」をアップしました。
『維新と興亜』第12号に掲載した鈴木宣弘先生のインタビュー記事「日本でも餓死者が出る」の一部を紹介いたします。
ウクライナ危機の陰で日本に飢餓が発生する?
── ウクライナ危機が起こったことにより、食料価格の高騰が起こっています。
鈴木 ウクライナ紛争で浮き彫りになったのは、食べる物を自国で賄えるようにしておかないと、いざという時に我々は生きていけないということです。この基本を今一度確認すべきです。特にウクライナ紛争前から中国の爆買いがだんだん始まって、小麦もトウモロコシも大豆も値上がりして、しかも中国の方が高い値段で大量に買う力がありますので日本は買い負けるという状況が起こっています。穀物だけではなくて肉類や海産物に至るまで、日本はすでに「お金を出せば買えるから輸入先をちゃんと見つけておけばいい」などという議論は成り立たないんだということをわからなければいけません。そういう時代がすでにウクライナ紛争の前から生じてきていて、特に今回それが危機的状況になったという印象です。
さらに、生産資材に至ってはより危機的な状況です。例えば化学肥料の原料であるカリとリンは日本には鉱物資源が不足しているため100%輸入に頼っています。日本は中国からかなり買っていたんですが、中国が輸出を抑制し始めて値段が上がり始めていたところにウクライナ紛争が発生し、カリやリンはロシアとベラルーシが中国と並ぶ大生産国なので状況がさらに深刻化しております。今年の分は何とか確保できているけど来年はわからないという状況に陥ってしまっています。このままではまさに餓死者が出るような食料危機が発生しかねない状況です。

── そのような危機的な状況に対して政府はどのような対応を取っているのでしょうか。
鈴木 まさに現在起っているのは食料危機なんです。生産資材も入ってこない状況で我々が生きていくにはどうしたらいいのかという議論を始めなければいけません。
ところが政府にはその危機感がまったくありません。岸田総理の施政方針演説では、「経済安全保障」と言いながら「食料安全保障」という言葉は一度も出てきません。「食料自給率」という言葉すら出てきません。国会の議論でもそうした話はあがってきていません。この期に及んで「食料自給率」や「国内生産振興」という言葉すら出てこないということは異常な事態と言わざるをえません。政府はいまだに「どこか外国から買ってくればよい」という認識でいます。新たな調達先をどう確保するかという議論にしかなっていない状況です。さらにひどいことには「もっと貿易自由化を進めていけば、さらに買い先が増えるのではないか」と言い出す始末です。貿易自由化を進めすぎたことで国内の生産を犠牲にして、製造業の輸出は増えたかもしれないが農業は衰退しているという状況を招いているのに、それをさらに貿易自由化を進めればなんとかなるというような、全然本質的な議論ができていないのが現状だということです。
さらに財務省が、減反政策でコメを作らせない代わりに野菜を作ったり麦を作ったり大豆を作ったりといった転作を支援する活用交付金をカットすると言い始めた。いまこそ食料危機を乗り越えられるように頑張っていかなければならない状況だというのに交付金をカットするなど何を言っているんだ、と全国の農家も蜂の巣をつついたような騒ぎになっています。
財務省はこの期に及んで歳出削減したいということしか頭にありませんが、そこには「国民を守る」という国家戦略がかけらもありません。まさに「今だけカネだけ自分だけ」の人達です。そのバックにはアメリカの穀物商社や巨大企業の利益があって、それと結びついた政治、行政、マスコミ、研究者が国を危うくしているという恐るべき状況です。
安全保障としての農業保護を行え!
── このような危機的状況にどう対応していけばよいのでしょうか。
鈴木 飢餓などの不測の事態が起こらないよう、たとえどんなにコストがかかろうとも国内で農作物などを作るのを奨励することです。「国内で作るのはコストがかかるから輸入すればいい」というものではありません。有事のために備えるコストというのは莫大にかかってもしょうがないんです。そうでなければ国民は守れません。短期的にはコストがかかりますが、もし飢餓が発生してしまえば大変な社会的損失ですから、経済ベースで考えても普段からちゃんとお金をかけて命を守るための生産を維持しなければならないのです。その点では軍事的安全保障の考え方と一緒です。
化学肥料にしても、たしかに鉱石の生産国は外国で国内の自給は難しいですが、そもそも化学肥料を使うこと自体が問題なのではないかという議論もあります。江戸時代のわが国の農業はまさに完璧な循環型社会をつくっており、幕末頃の肥料学の世界的な第一人者であったリービッヒという人が、江戸時代の日本の農業は凄いと述べています。「日本の農業は土に自然資源を入れてそれをまた糞尿で出し、それをまた入れて全てを使うという循環農業の究極の姿だ」と絶賛しているのです。江戸時代と現在では時代状況がまったく違いますが、自然の摂理に従って生態系の力を最大限に発揮し、できるだけ自国の資源で全てを賄うということはやろうと思えばできるんです。早急にそちらに向けて舵を切る必要があります。高村光太郎が「食うものだけは自給したい。これなくして真の独立はない」と言っていますが、まさにその通りです。
GHQに食糧生産も自国の食文化も奪われた
── 日本がここまで食料自給を軽視するようになってしまった原因は何ですか。
鈴木 日本の農政は欧米の思惑で歪められ続けてきました。幕末には不平等条約を突き付けられ農産物の関税を決めることもできなくなりました。その不平等条約は表面上改正できはしましたが、現在でも本質的な力関係では何も変わっていません。今回も輸入小麦の価格高騰が大問題になっていますけれども、国産の小麦はダブついているんですよ。とにかくアメリカの小麦を使うというのが日本の基本的な構造として存在しています。
日本はアメリカの戦略で占領政策として給食等でアメリカ産食材を使用することの奨励などを行ってきました。学者が回し者に使われて、「米を食べると馬鹿になる」とか、「子どもたちだけはアメリカ産の小麦だけで賢くしてアメリカ人と対等に話ができるようにしてあげなければ示しがつかない」といった嘘の宣伝をさせられて、学校給食で無理やり食生活を変えてしまった。それで朝鮮戦争で余ったコッペパンと家畜も食べない脱脂粉乳が日本人に食べさせられたのです。そういった闇が大きくのしかかっています。
こんな短期間に伝統的な食生活を一変させた民族は日本人だけだと言われます。その後もアメリカで余っている大豆やトウモロコシを無理矢理日本で売ろうということで関税を実質撤廃させられて、日本の米以外の穀物生産はほとんど壊滅状態になってしまいました。
── なぜそのように農政がおかしくなってしまったのでしょうか。
鈴木 占領期から「アメリカから食料を輸入しろ」という圧力は加えられ続けており、それとともに食料自給率が下がってくるという傾向はありました。しかし牛肉とオレンジの問題が典型ですが、かつての農林水産省は国産品を守るべくそれなりに踏ん張っていた時代もありました。
しかし近年で特におかしくなったのが第二次安倍政権のときです。安倍政権では経済産業省が官邸で力を持ち、農林水産省とのパワーバランスが一気に崩れてしまった。完全に農林水産省が言うことを聞かされるだけの部署になって、食料を犠牲にするという構造が徹底的に強まったわけです。その結果TPPをはじめとした自由貿易協定が矢継ぎ早に締結されてしまいました。TPP参加自体は民主党政権時代に決まりましたが、その後第二次安倍政権になってから一気に進んだわけです。安倍さんは「農業を守る」とか「日本は瑞穂の国だ」とか言葉ばかり言うけれども、平気で嘘をついてごまかしを重ねて悪い方向へと持っていく政治が当たり前のようになってしまいました。
TPP交渉の際に作成された日米サイドレターという付属文書には、「アメリカがやってほしいことがある場合は規制改革会議等で検討しすぐに実行する」と書かれています。しかし、「TPPが頓挫した場合はこの日米サイドレターも無効になりますね」と野党から質問があった際に、当時の岸田文雄外務大臣は「これは日本が自主的に決めたことを書いているだけなので自主的に粛々と実行します」と答弁しているんです。日本の政治家が「自主的に」と言った時は「アメリカの言う通り」ということがわかります。
その他にも、オリックスの宮内義彦氏、パソナの竹中平蔵氏、サントリーの新浪剛史氏などの決まったメンバーが政府の諮問会議に参画して、自社の活動に有利になるよう働きかけているのではないかと疑いを持たれかねないような政策を実行させています。例えばオリックスの子会社であるオリックス農業は、兵庫県養父市の国家戦略特区で巨大農園を持っています。また、オリックスが千葉県銚子で洋上風力発電をやりたいから、地元の漁師から漁業権をオリックスに付け替えるというような法改正までやっています。「今だけカネだけ自分だけ」の政治で一次産業が壊されていっているのです。
── アメリカの圧力とそれに乗っかるレントシーカーたちによる「今だけカネだけ自分だけ」の行政施策が行われていることがよくわかりました。彼らの支配に対抗する長期的なビジョンはありますか。
鈴木 日本国内という点で考えることも重要ですが、国際的に共通性もあるアジアの国々が共同体的なネットワークを強化するということは、アメリカの従属国でなくなるために重要な流れではないかと思っています。アメリカからまさに独立できるかということが日本にとって重要なのであって、そのためには日本も彼らに対抗できるだけのネットワークを構築しなければなりません。日本人は仲間をしっかりと作らなければ必ず欧米にやられてしまいます。
こうした食料も含めた安全保障の議論をすると、必ず「いまの日本はアメリカに守ってもらっているからこれ以上言えないんだ」というような反応が返ってきてしまいます。しかしそれは思考停止ではないでしょうか。「アメリカが守ってくれる」という幻想から覚めたうえで考えていかなければダメだと思います。
(後略)
道義国家日本を再建する言論誌(崎門学研究会・大アジア研究会合同編集)