『維新と興亜』第16号(令和4年12月28日発売)
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『維新と興亜』定期購読(5000円、送料込み)・会員
《目 次》
【特集】瑞穂の国の破壊者たち 食料安全保障推進法制定を急げ!
誰が日本の農業を破壊したのか(鈴木宣弘)
日本人が食べている危険な食品(安田節子)
食と農の自立が在所共同体を救う(荒谷 卓)
農本主義者・橘孝三郎の「土とま心」に学べ(塙眞・篠原裕・金子弘道)
暮らしに根ざした国体開顕運動としての新嘗祭奉祝(小田内陽太)
【巻頭言】中国脅威論の背後にある黄禍論(坪内隆彦)
【時論】日中戦争を繰り返さぬために今こそアジア主義に学べ(折本龍則)
【時論】クリスマスの馬鹿騒ぎとリベラリズムの醜悪(小野耕資)
露宇戦争停戦を主導せよ(稲村公望)
八紘為宇実践の系譜(西村眞悟)
誠の人 前原一誠 ②高杉晋作とともに国事に奔走(小野耕資)
世界を牛耳る国際金融資本③中川昭一失脚の真相させた国際金融資本(木原功仁哉)
萬葉集の精神と国史 柿本人麻呂と大伴家持(倉橋 昇)
「維新」としての世界最終戦 現代に甦る石原莞爾 ⑥都市批判(金子宗德)
台湾を全面支援します。その③(川瀬善業)
高風無窮⑥その心、ひとたび発せ(森田忠明)
愛郷心序説【完】戦後体制からの脱却(杉本延博)
いにしへのうたびと⑧額田王のうたごころ(玉川可奈)
在宅医療から見えてくるもの 「いま、ここ」を生きる(福山耕治)
藤本隆之さんを偲ぶ会 遺文集を贈呈(本紙編集部)
昭和維新顕彰財団 大夢舘日誌(令和4年4月~12月)
【書評】副島隆彦・佐藤優『欧米の謀略を打ち破り よみがえるロシア帝国』/井上芳保『鬼滅の社会学』/窪田新之助・山口亮子『誰が農業を殺すのか』
活動報告
読者の声
編集後記
令和5年度『維新と興亜』塾(オンライン)
「八紘為宇と王道アジア主義」
講師:坪内隆彦(『維新と興亜』編集長)
西郷南州を源流とする王道アジア主義は、覇道の原理でアジアに迫る欧米の勢力を排除し、王道の原理に基づいたアジア建設を目指した。南州の精神を引き継いだ宮島誠一郎、宮島大八、荒尾精、頭山満、葦津耕次郎、石原莞爾、木村武雄らの思想と行動に光を当て、日本近現代史の真実に迫る。
第1回 令和5年1月20日(金)20時~21時
TEL 047-352-1007 FAX 047-355-3770
mail@ishintokoua.com https://ishintokoua.com
■「日本を救う水戸学の思想」
講師:折本龍則(『維新と興亜』発行人・浦安市議会議員)
昭和59年、千葉県浦安市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業(雄弁会幹事長)。インドでチベット人への日本語教育に従事。著書に『崎門学と『保建大記』』『日本再建は水戸学国体論から!』など。
■「知られざる國體思想─尾張学」
講師:坪内隆彦(『維新と興亜』編集長、昭和維新顕彰財団代表理事)
昭和40年生まれ。慶応義塾大学法学部卒業後、日本経済新聞社に入社。平成元年退社後、フリーランスで取材・執筆活動に入る。近著に『徳川幕府が恐れた尾張藩』『水戸学で固めた男・渋沢栄一』『木村武雄の日中国交正常化』など。
日 時:令和5年1月28日(土)16時~18時
場 所:東京都中央区日本橋本石町4-6-21 SP第3ビル 3階
費 用:1,000円(資料代含む)
主 催:『維新と興亜』
TEL 047-352-1007 FAX 047-355-3770
mail@ishintokoua.com
『維新と興亜』第15号(令和4年10月28日発売)
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『維新と興亜』定期購読(5000円、送料込み)・会員
《目 次》
【特集】いまこそ自主防衛を 核武装という選択
アメリカは日中戦争に参戦できない(田母神俊雄)
日本の國體に目覚めることが自主防衛の前提である!(西村眞悟)
迎撃能力だけで日本を守れるのか(武田良太)
日本は北朝鮮を見倣え(堀 茂)
核武装なくして自主防衛なし(毒島刀也)
いまこそ防衛産業の復活を(桜林美佐)
戦後の平和維持体制が完全に崩壊した(稲村公望)
【巻頭言】日本弱体化法「財政法第四条」を改正せよ(坪内隆彦)
【時論】岸田首相は統帥権を天皇陛下に奉還せよ(折本龍則)
【時論】いまさらながらの国内回帰─ボーダレス幻想を完膚なきまでに捨てよ(小野耕資)
【新連載】誠の人 前原一誠① 東京で栄達した人間につぶされた萩の変(小野耕資)
藤本隆之さんを偲ぶ(本誌編集部)
国家を消滅させるデジタル経済化(原 嘉陽)
世界を牛耳る国際金融資本 ② 通貨発行権をめぐる攻防(木原功仁哉)
藤田東湖と西郷南洲⑧ 人を殺す思想こそ本物だ─テロリズムの現象学(山崎行太郎)
保田與重郎から読み解く維新の源流 ③王朝の風雅─詩歌と美意識(倉橋 昇)
尊皇愛国の経営 第八回 台湾を全面支援します。その②(川瀬善業)高風無窮(五)人の腹立つまじきやうに(森田忠明)
愛郷心序説 ⑪ 愛民仁慈の大御心(杉本延博)
いにしへのうたびと 第八回 上代のみやび~志貴皇子の御歌(玉川可奈子)
在宅医療から見えてくるもの─西洋近代文明の陥穽とその超克 ⑧ 家に帰ったらやりたいこと~メメント・モリ~(福山耕治)
崎門学に学ぶ 『白鹿洞書院掲示』浅見絅斎講義 ②(三浦夏南)
竹下登論 ③「ふるさと」を主眼にした政治家(田口 仁)
昭和維新ミュージアム 青年日本の歌史料館の設立 国民の覚醒と祖国愛の活性化のために(岡本幸治)
【書評】鈴木信行『指名手配議員』/村上繁樹編『幕末勤王志士と神葬』/松尾匡『コロナショック・ドクトリン』
活動報告
読者の声
編集後記
大アジア研究会主催で、令和4年12月3日に講演会「大アジア主義とは何か 真実の歴史を知ろう─戦後封印されたもう一つの近代史を解き明かす」を開催します。
是非ご参加ください。
■講演会
①「王道アジア主義の系譜─西郷隆盛・石原莞爾・木村武雄」
講師:坪内隆彦(『維新と興亜』編集長、昭和維新顕彰財団代表理事)
昭和40年生まれ。慶応義塾大学法学部卒業後、日本経済新聞社に入社。平成元年退社後、フリーランスで取材・執筆活動に入る。近著に『水戸学で固めた男・渋沢栄一』『木村武雄の日中国交正常化』など。
②「岡倉天心と大川周明」
講師:小野耕資(大アジア研究会代表、『維新と興亜』副編集長)
昭和60年、神奈川県生まれ。青山学院大学文学研究科史学専攻博士前期課程修了。里見日本文化学研究所研究員。著書に『読んでおきたい日本の「宗教書」』『筆一本で権力と闘いつづけた男 陸羯南』など。
③「頭山満と内田良平」
講師:折本龍則(『維新と興亜』発行人・浦安市議会議員)
昭和59年、千葉県浦安市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業(雄弁会幹事長)。インドでチベット人への日本語教育に従事。著書に『崎門学と『保建大記』』『日本再建は水戸学国体論から!』など。
日 時:令和4年12月3日(土)14時~16時
場 所:中台地域センター(東京都板橋区中台一丁目44-8、東武東上線上板橋駅から徒歩8分)
費 用:1,000円(資料代含む)
*講演会に先立ち、有志により
宮崎滔天歿後100年祭を執り行います
時 間:11時~12時
場 所:白山神社(東京都文京区白山5-31-26) 孫文像前
主 催:大アジア研究会 共 催:『維新と興亜』
TEL 047-352-1007 FAX 047-355-3770
mail@ishintokoua.com
『維新と興亜』第15号(令和4年10月28日発売)に掲載した田母神俊雄先生のインタビュー記事「米国は日中戦争に参戦できない」の一部を紹介します。
アメリカがウクライナ戦争に参戦できない理由
── 日米安保条約に依存する現在の防衛政策には、どのような問題点がありますか。
田母神 いま日本では「自分の国は自分で守る」という体制ができていません。歴代政権は、「自分の国は自分で守る」と口では言ってきましたが、実際にその方向に動いたことはないのです。
日米安保条約のもと、有事の際にはアメリカに守ってもらうという体制を続けてきましたが、本当にアメリカは日本を守ってくれるのでしょうか。今回、核武装国であるロシアが非核武装国であるウクライナに侵攻しました。ところが、核武装国であるアメリカでも、ウクライナの戦闘に参加して同国を助けることができないということがはっきりしたのです。もちろん、ウクライナとアメリカが同盟関係にないことも影響していますが、同盟関係にあったとしても結果は同じだったと思います。
プーチン大統領が「必要があれば核兵器の使用も辞さない」と恫喝する中で、アメリカが仮に戦争に参加した場合、戦闘がエスカレートすれば核兵器の撃ち合いになる危険性があるわけです。そうした危険性があるからこそ、バイデン大統領は「戦争には参加しない」と最初から語っていたのでしょう。つまり、ロシアの核兵器によって、アメリカのウクライナ戦争への参加が抑止されているということです。
これを日本に当てはめると、核武装国である中国が非核武装国である日本に侵略した場合、核武装国であるアメリカが中国と日本の戦争に参加して戦ってくれる確率はほぼゼロに近いと思います。それが、今回のウクライナ戦争ではっきりしたことです。つまり、いまこそ日本は自力で戦う覚悟を固め、自主防衛の方向に大きく舵を切るべきです。
日本では「国家の自立とは軍の自立である」ということが十分に理解されていません。 国家の自立と軍の自立はほぼ同意語です。つまり、どんなに「日本は自立すべきである」と叫んだところで、軍事的に自立しなければ、それは掛け声だけで終わってしまうということです。
日本は国家として自立し、対等の関係で日米安保条約を結び直す必要があります。現在の日米安保体制はアメリカへの従属体制です。
国家として自立しなければ、主体的な経済政策を採用することもできません。結局、アメリカの要求に沿った政策を強いられ、国益を毀損するような結果をもたらすということです。
またバイデン大統領の「ウクライナの戦争には参加しない」という発言の背後には、アメリカはウクライナ戦争が起きて欲しかったという背景があるかもしれません。ロシアに侵略してもらえばウクライナを支援することによってアメリカの軍需産業が儲かるわけです。国際政治は腹黒いのです。
── 自衛隊の司令部と在日米軍の司令部が同じ場所に存在する現状について、どう考えていますか。
田母神 米空軍の横田基地の出先機関に自衛隊の航空総隊司令部が入り、米海軍の横須賀基地の出先機関に海上自衛隊の自衛艦隊司令部が入り、アメリカのレギュレーションによってコントロールを受けている状況は、決して独立国の姿ではないと思います。
ただ残念ながら、現在は自衛隊の力だけで日本を守ることはできません。いますぐアメリカ軍が撤退すれば、中国などに篭絡される可能性があります。したがって、まず日本の軍事力を増強して、自力で戦える体制が確立した上で、米軍の常時駐留ではなく、有事駐留に切り替えていくべきだと思います。
「日本の核武装」をアメリカに説得するチャンスだ
── 日本の自主防衛の確立には核武装が必要でしょうか。
田母神 日本が核武装することによって、日本の安全性は向上すると思います。日本人には核に対するアレルギーが強く、左派と言われる人たちは日本の核武装には絶対反対の立場をとっています。しかし、核兵器は使用する兵器ではなく、戦争を抑止するための兵器です。ある国家が、ひとたび核兵器を保有すれば、その国家に対する攻撃はできなくなります。
アメリカは、「イラクが大量破壊兵器を持っている」という理由でイラクを攻撃しましたが、実はアメリカはイラクが大量破壊兵器を持っていないということを知っていたからこそイラクを攻撃できたのです。これに対して北朝鮮はどうか。アメリカが北朝鮮を軍事的に制圧することはそれほど難しいことではありませんが、北朝鮮は破れかぶれで、アメリカに対して核兵器を使用するかもしれません。どんなに北朝鮮の核兵器の性能が低いとしても、北朝鮮がニューヨークやワシントンをターゲットとして核攻撃し、命中させる可能性はゼロではありません。アメリカは、その可能性が僅かでもあれば、北朝鮮に対して攻撃することはできないと思います。つまり、日本が核武装すれば、日本に対して軍事攻撃をすることは難しくなります。
核兵器には軍事的な意味だけではなく、外交的な意味もあります。核武装国と非核武装国とを比べた時、その外交交渉力は大きく異なります。軍事力を背景にして、相手に対して「ふざけたことを言っていたら、ぶん殴るぞ」という姿勢を見せなければ、外交力は高まりません。
『維新と興亜』第14号(令和4年8月28日発売)
ご注文・問い合わせは、
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『維新と興亜』定期購読(5000円、送料込み)・会員
《目 次》
【特集】どうする日本外交 日米地位協定改定 日中国交正常化50年
日米安保条約を破棄すればいい(亀井静香)
対米自立を政治の大きな流れに(鳩山友紀夫)
日米地位協定改定の方策(上田清司)
本音で日本の自立を語る(神谷宗幣)
習近平後の日中関係(近藤大介)
アジア主義と日中連携論 宮崎滔天・北一輝・石原莞爾(嵯峨 隆)
王道アジア主義の夢 木村武雄の日中国交正常化(坪内隆彦)
【明治神宮外苑再開発】
儲けのために日本の歴史を破壊するのか(鈴木傾城)
外苑の樹木を守れ(本誌編集部)
【巻頭言】このままではテロ多発時代が訪れる(坪内隆彦)
【時論】令和の御代こそは天皇陛下の靖国神社ご親拝を仰ぐべし!(折本龍則)
【時論】安倍晋三の国葬儀に反対する(小野耕資)
【新連載】世界を牛耳る国際金融資本① ワクチン普及による人口削減計画(木原功仁哉)
天皇を戴く国(六)大東亜戦争の世界史的意義(西村眞悟)
保田與重郎から読み解く維新の源流② 近世国学の源流─後鳥羽院(倉橋 昇)
九条での変節は、統一教会との癒着と無関係か?(慶野義雄)
台湾を全面支援します。その①(川瀬善業)
大東亜戦争敗戦と石原莞爾(金子宗德)
今生に発心せずんば(森田忠明)
愛郷心序説 ⑨「みことのり」に示されたまつりごとの基本(杉本延博)
大伴家持の美意識と苦悩 余話(玉川可奈子)
「科学万能」の幻想(福山耕治)
秋田の先賢─平田篤胤と中山菁莪(廣木 章)
【書評】吉田敏浩著『追跡! 謎の日米合同委員会』/西部邁・福田和也著、木村岳雄監修『論語清談』/松本丘著「大津崎門派 川島栗斎」
活動報告
読者の声
編集後記
日時 令和4年11月3日(木)14:00
集合場所 都営三田線白金高輪駅
コース
白金氷川神社(建武神社)参拝⇒重秀寺田中逸平墓参⇒電車移動(千駄木駅へ)⇒全生庵山岡鉄舟墓、荒尾精墓、山田良政碑墓参、拝観⇒谷中霊園来島恒喜、渋沢栄一墓参⇒日暮里駅近くで懇親、解散
『維新と興亜』第14号(令和4年8月28日発売)に掲載した「安倍晋三の国葬儀に反対する」(時論、小野耕資)を紹介します。
本年七月八日の山上徹也容疑者による銃撃事件により、元首相が亡くなるという衝撃的な事件が起こった。同容疑者は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に家族が入信し、家庭が崩壊したことで、同教団の広告塔となっていた安倍氏を標的としたと供述している。
安倍元首相の死去からわずか六日後の七月十四日には、岸田首相は「ご功績は誠にすばらしいものである」として、安倍氏の国葬儀を行うことを表明し、二十二日には閣議決定がなされた。国葬儀は九月二十七日に日本武道館で無宗教形式で行われる予定だという。
国葬については微妙な歴史がある。戦前は『国葬令』のもと、天皇の勅令により執り行われている。皇族の他は、伊藤博文、山縣有朋、松方正義、西園寺公望ら元老がその中心であった。そうした国葬令が消失したと考えられた戦後は、天皇を除く皇族は国葬と明言しない「事実上の国葬」で執り行われている。また、戦後臣下で国葬された先例とされている吉田茂は国葬ではなく「国葬儀」だという奇妙な理屈で(勅令ではなく)閣議決定により行われた歴史がある。今回の安倍国葬も同様で、国葬ではなく国葬儀であるという理屈に立っている。なぜこのような奇妙な理屈がこねられているかというと、元来国葬とは、「国家元首及びその親族」と、「国家元首が認めた人物」がなされるものだ。しかし戦後のわが国は「日本国憲法」なる偽文書を抱えているために、国家元首が誰であるのかを曖昧にごまかしてきた。戦前からの通例にならって国家元首は天皇とするのか、「国民主権」を掲げた憲法を戴くため「国民(その代表である総理大臣)」とするのか、憲法論議は避けられてきた。結果、元首が祀られるべき国葬についても曖昧な対応とされ続けてきたのだ。昭和天皇の大喪の礼が国費でなされている通り、本質的に日本国の元首は天皇であると考えるほかないが、長年の自民党政治がこうした議論を明確にせずにごまかし続けてきたため、国葬についても法整備がなされていないのだ。法整備も元首に関する議論も棚上げしたまま、なし崩し的に先例だからと閣議決定で「国葬儀」をする姿勢は到底容認できない。
私見を申し上げれば、本質論的にいえば元首は天皇であるのだから元首及びその周囲の方を国葬とするのが自然ではないだろうか。国葬とは天皇が亡くなられた際の大喪の礼であって、臣下は国葬にされるべきではない。ちなみに安倍元首相の国葬の委託先は電通が受注したという。自民党と電通の癒着体質により、真底まで腐っていることが明らかになった。こうした政治体制の中で権力を維持しつづけたことも安倍政治の本質であり、皮肉な結果ともいえる。
ところで安倍国葬にまつわる報道の中では、喪主である昭恵夫人が国葬に乗り気ではなく、実はそっとしておいてほしいという意向なのではないかということに注目したい。もともと昭恵夫人は「内助の功」に徹することが多かった歴代の首相夫人とは異なり、東日本大震災の被災地の防潮堤建設の見直しを訴えたり、脱原発に言及したり、居酒屋経営をしたりするなど政府方針と異なる独自の動きをしつづけ、「家庭内野党」と呼ばれたほどであった。「後継ぎ」が期待される家庭環境の中で、体質的な面もあろうが子どももなく、「保守派」の重鎮とされた安倍氏であるが、夫婦関係は存外リベラルであったという。安倍氏も自らの家柄に課せられた「役割」を果たすことで精いっぱいであったのかもしれないと思うと感慨深い。岸田首相が早々に国葬儀を決定した背景には、海外要人の弔問客に対応することで自らの権力基盤を安定させたいという底意があるとも言われる。死してもなお権力に翻弄されることが安倍氏が背負った宿命だとすれば、哀しいことではないだろうか。
世の所謂「保守派」の中には安倍国葬を礼賛する方も少なくない。だが天皇陛下の勅もなく国葬儀を発する岸田総理の姿勢に、戦後の矛盾を見なければならない。中曽根元首相をはじめとした吉田茂以外の歴代総理大臣は、内閣と自由民主党の合同葬とされることが多い。これ自体も電通が受注したのか等税金の使い道は精査されないといけないのだが、少なくとも国葬儀よりは穏当な対応であり、安倍氏も同様の対応とすべきではないだろうか。
『維新と興亜』第14号(令和4年8月28日発売)に掲載した「令和の御代こそは天皇陛下の靖国神社ご親拝を仰ぐべし!」(時論、折本龍則)を紹介します。
今年も戦後七十七回目の終戦記念日を迎えた。毎年この日になると、今年は何人の大臣が参拝したといったことがニュースになる。お国の為に戦い亡くなられた英霊を政府が追悼するのは当然の事であり、首相以下全ての閣僚は、内外の圧力を排して靖国神社に参拝すべきである。
とはいえ、首相といえども所詮は人臣であり、英霊たちが一番待ち望んでおられるのは天皇陛下のご親拝ではないだろうか。なぜなら、英霊は「天皇陛下万歳」と言って亡くなったのであって、「内閣総理大臣万歳」といって亡くなった方はほとんどおられないだろうからである。よく、英霊は「天皇陛下万歳」などと言って死んでいない、最期は「お母さーん!」と言って亡くなったのだということを言う方がおられるが、天皇陛下は、故郷の父母や愛する家族、麗しい山河、悠久の歴史を内包した日本そのものを一身に体現された御方なのである。
したがって、政府は天皇陛下のご親拝を仰げるような環境整備にあらゆる努力を尽くすべきであり、首相以下全ての閣僚が靖国を参拝するのは、ご親拝の露払いなのである。
残念ながら、三十年に亘った平成の御代において、ついに天皇陛下の靖国ご親拝は叶わなかった。令和元年五月十一日、世間が御代替わりの祝賀ムードに沸くなか、「靖國会」の事務局長をされていた沼山光洋さんが、「平成の御代にご親拝賜われなかったこと天皇陛下、御祭神の皆様に大変申し訳なくお詫びの言葉もありません」と云った言葉を遺して、靖国神社付近の路上において割腹自決を遂げられた。恐懼に堪えない。
天皇陛下の靖国神社ご親拝については、昭和天皇が戦前戦後を通じて二十八回、現行憲法施行後も八回ご親拝されているが、昭和五十年の十一月二十一日を最後に途絶えてしまっている。この背景の一つには、昭和五十三年における故松平永芳宮司によるいわゆる「A級戦犯」の合祀があるとされている。
しかし、たとえ如何なる事情があるにもせよ、目的は陛下のご親拝を実現することにあるのであるから、政府が逐一今上陛下の思し召しを拝しながら、原理原則に固執することなく必要な措置を講じ、ご親拝に立ちはだかる政治的障害物を取り除かねばならない。
ところで、靖国の英霊は、天皇陛下を大元帥に戴く皇軍の将兵として戦われた。皇軍が最強を誇ったのは、天皇陛下への忠義を通じて国民が心を一つにし、一致団結して国難に当たったからである。これは決して近代に始まったことではなく、万葉集にある「今日よりは顧みなくて大君の醜の御盾と出で立つわれは」の防人歌に示されるように、建国以来の我が国の伝統なのである。
したがって、目下、憲法改正の議論が高まっているが、自民党がかつて改憲案に掲げていた「自衛隊の国軍化」とは、天皇に統帥権を奉還して大元帥に戴くことに他ならない。これは極論でも何でもなく、我が国と国柄は違うが、例えば立憲君主制の英国においてさえ、国軍の最高司令官は英国女王である。
こういうことを言うと、すぐに「戦前の軍部は統帥権の独立の名の下に政府を無視して暴走し侵略戦争を引き起こしたではないか」、といった批判が来る。しかし筆者は、統帥権が独立していたから軍部が暴走したのではなく、逆に、統帥権が上手く機能していなかったから軍部の暴走を止められなかったのだと思っている。
古来天皇陛下は、国家の安泰と世界の平和を祈られるご存在であり、昭和天皇が大東亜戦争直前の御前会議に際し、明治天皇の「よもの海みなはらからと思う世になど波風のたちさわぐらむ」の御製を引かれて最後まで平和を思召され、戦後もご歴代の天皇が平和を祈り続けて来られたように、天皇陛下は世界平和の象徴であらせられる。したがって、その様な陛下を国軍の大元帥に戴くことは、我が国の軍隊が侵略戦争はしない、平和と道義の為の軍隊であることを内外に明示することにもなるだろう。
令和の御代こそは、何としても天皇陛下の靖国神社ご親拝を仰がねばならない。
道義国家日本を再建する言論誌(崎門学研究会・大アジア研究会合同編集)