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「右派はなぜ財界の横暴に無関心なのか 麗しき山河を守れ」(針谷大輔、『維新と興亜』第8号)

『維新と興亜』第8号に掲載した「右派はなぜ財界の横暴に無関心なのか 麗しき山河を守れ」の一部を紹介します。
「右派はなぜ財界の横暴に無関心なのか 麗しき山河を守れ」(針谷大輔)(『維新と興亜』第8号)

〈── なぜ右派や保守派は財界に甘くなったのでしょうか。
針谷 社会的弱者を含めた国民全体に対する陛下の大御心を理解していないからだと思います。財界の横暴に無関心なのは、尊皇心が欠けているからです。同時に、GHQによって植え付けられた個人主義、利己主義が日本社会全体に蔓延してしまい、全てが損得勘定で動くようになってしまったからでしょう。
 かつては、政治家には「政治の力で国民を豊かにする」という誇りがありました。しかし、今の政治家たちは自分の利益を優先するようになっています。そうした政治家が営利を追求する企業に利用され、国民の富を独占しているのです。
 竹中平蔵氏が会長を務めるパソナは、何かを自分たちで生み出しているわけではありません。政治の力を使って、仲介料や手数料という形で、金をふんだくっているだけです。電通にしても、かつては企画力、創造力で勝負していましたが、いまや中抜きで儲けるような企業に成り下がってしまいました。そうした企業が優遇されているのは、政治と結託しているからです。
 私が恐れるのは、自分が動いたところで何も変わらないという諦めの気持ちを抱くことです。我々の運動によってすぐに社会が変わるとは思っていません。しかし、自分が動くことによって必ず何かが変わると信じるべきです〉

「なぜ経団連事件は起きたのか 民族派は国家の危機を察知する〝触覚〟」(蜷川正大)

『維新と興亜』第8号に掲載した「なぜ経団連事件は起きたのか 民族派は国家の危機を察知する〝触覚〟」(蜷川正大)の一部を紹介します。
「なぜ経団連事件は起きたのか 民族派は国家の危機を察知する〝触覚〟」(蜷川正大)(『維新と興亜』第8号)
 〈右翼が財界を襲った戦後初めての事件
── 経団連事件の目的は何だったのでしょうか。
蜷川 戦後、右翼が財界を襲ったのは経団連事件が初めてです。野村先生が経団連を標的にしたのは、日本の文化と伝統を慈しみ、培ってきた我々の大地、うるわしき山河を、彼らが経済至上主義によって引き裂いてしまったと考えたからです。しかも、財界首脳は戦前的な勢力や風潮は望ましくないという姿勢を貫き、戦後のナショナリズムを巧みに反共にすり替え、企業防衛の思想へ転化させてきました。野村先生は、こうした財界の姿勢は容認できないと考えました。野村先生は日本を弱体化させている「戦後体制」を打破するためには、それを支えている政界やマスコミとともに、財界を糺さなければならないと考えていたのです。
 ところが、野村先生の行動は当時の右翼陣営からはあまり評価されませんでした。反共右翼が強い時代だったからです。経団連事件の檄文を高く評価した石原慎太郎氏は、例外的な存在でした。
 事件発生直後、経団連の土光敏夫会長が「経団連会長室を襲ったのは右翼だ、との情報だが、本来私は右翼であり、右翼から狙われるなどということは、おかしな話だ」と語ったことは、当時の右翼がどう認識されていたかを如実に示しています。共産主義に反対し、体制を守るのが右翼だととらえられていた時代だったということです。評論家の猪野健治先生や竹中労氏は、経団連事件を、反共一辺倒で体制擁護派と誤解されてきた戦後の右翼が、右翼本来の姿勢を明確に打ち出し、アピールした極めて象徴的な事件だったと位置付けています。
── 檄文(十八頁参照)は営利至上主義、経済至上主義を厳しく批判するとともに、「水俣病患者・スモン病患者の心痛に対して、一度でも敬虔な反省をもったことがあるのか」と公害をもたらした企業の責任を追及しました。
蜷川 当時、公害問題で企業を攻撃していたのは左翼であり、「企業を攻撃する左翼を右翼が叩く」という図式がありました。右翼には、公害問題には取り組まなければならないが、それは左翼を利することになるという考えがあったのだと思います。野村先生の行動を理解したのは、葦津珍彦氏や毛呂清輝氏など、戦前から昭和維新運動に挺身してきた人たちでした。三上卓先生が作った「青年日本の歌」に「財閥富を誇れども社稷を念う心なし」とあるように、戦前の民族派は民衆の膏血を搾る財閥を糾弾していました。
 野村先生は「新右翼」と呼ばれましたが、むしろ戦前の民族派への回帰ととらえた方がいいと思います。もともと、野村先生は若い頃に起こした事件で下獄した時に、三上先生の門下生である青木哲氏と出会い民族派思想に目覚めました。特に、野村先生は大川周明、影山正治、蓮田善明の三人から強い思想的影響を受けました。〉

【特集】財閥富を誇れども 社稷を念う心なし 「経団連を討て!」(『維新と興亜』第8号)

『維新と興亜』第8号に掲載した【特集】財閥富を誇れども 社稷を念う心なし 「経団連を討て!」のリードを紹介します。
特集(『維新と興亜』第8号)
 〈本誌は、竹中平蔵氏に代表されるグローバリストたちを糾弾してきた。彼らがアメリカの要望に応える形で、規制改革を推進した結果、格差の拡大や共同体の破壊が進んだからだ。しかも、空港や水道などが特定の企業に「私物化」されつつある。まさに売国的行為だ。
 では、竹中氏らの新自由主義路線は、誰の意向で進められているのか。それは、日本の大企業の意向にほかならない。その元締めこそ経団連だ。いまや日本の有力企業の多くが外資系となっているので、経団連はグローバル企業の元締めでもある。
 日本の賃金水準の低下を招いたのは経団連の責任であり、法人税減税と消費税増税を主張し、我が国の税制を歪めてきたのも経団連だ。しかも、彼らは国家戦略特区諮問会議や成長戦略会議などの諮問会議と歩調を合わせ、「規制改革」の先頭に立ってきた。彼らは次々と提言を発表し、環太平洋経済連携協定(TPP)推進、外国人労働者の受け入れ拡大、「農業改革」など、一連の改革を進めてきた。
 こうした経団連の横暴が罷り通ってきた理由の一つは、保守派、右派が経団連を批判しなくなっているからだ。いまや、「保守」を名乗る月刊誌が、新自由主義を礼賛する国家戦略特区ワーキンググループ民間議員に、主張の場を提供するような有様だ。
 振り返れば、我が国では資本主義導入以来、國體の立場から資本主義の弊害を批判する言論が存在してきた。やがて、営利至上主義の財閥に対する国民の激しい憤りを背景に直接行動が展開された。
 大正十(一九二一)年九月には安田財閥の首領・安田善次郎が朝日平吾に刺殺され、昭和七(一九三二)年三月には三井財閥の総帥・團琢磨が血盟団の菱沼五郎によって射殺されている。五・一五事件で蹶起した三上卓が作った「青年日本の歌」には、「財閥富を誇れども 社稷を念う心なし」とある。財閥を狙った右翼の直接行動は、いずれも愛国思想に基づいていたのだ。
 ところが戦後、GHQの占領政策によって我が国の愛国思想は封じ込められ、東西冷戦勃発後、右翼は反共・親米に誘導された。やがて、「資本主義擁護、グローバリズム擁護が右派のとるべき立場だ」という考え方が広がったいった。しかし、経団連事件に象徴されるように、戦後体制打破を掲げ、営利至上主義の財界に牙を剥いた先人たちは存在したのだ。彼らこそ、昭和維新の精神を引き継いだ本来の民族派だったのではないか。
 経団連新会長に就いた十倉雅和氏は、「新自由主義や市場原理主義に基づく行き過ぎた効率追求や規模拡大が、格差の拡大や再生産、気候変動、生態系の破壊を招いている」と語ったという。ならば、経団連はこれまでの新自由主義路線を直ちに転換すべきだ。
 経団連が社稷を思う心を取り戻さなければ、やがて「経団連を討て」という国民の声が高まるに違いない。〉

【巻頭言】ビル・ゲイツによる食の支配を許すな(坪内隆彦、『維新と興亜』第8号)

『維新と興亜』第8号に掲載した【巻頭言】ビル・ゲイツによる食の支配を許すな(坪内隆彦)の一部を紹介します。
巻頭言(『維新と興亜』第8号)
 〈九月にニューヨークで開催される国連食料システムサミットは、わが国の食と農の将来を左右する極めて重要な会議となりそうだ。グローバリストたちは、このサミットの議論を有利に展開し、世界の食と農の支配を強めようと目論んでいるからだ。例えば、彼らは安全性に疑問があるゲノム編集技術を使った農作物や農薬、デジタル農業・スマート農業を世界に拡大しようとしている。前号の特集で警鐘を鳴らしたグローバルアグリビジネスがいま攻勢に出ようとしているのだ。
 警戒すべきことは、「アフリカ緑の革命のための同盟(AGRA)」のアグネス・カリバタ総裁(元ルワンダ農相)が、このサミットを主導することだ。AGRAは、アフリカの貧困と飢餓を克服するために設立された国際組織とされている。しかし、AGRAはマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツの「ビル&メリンダゲイツ財団」から資金提供を受け、遺伝子組み換え作物(GMO)の生産をアフリカに広げてきた。
 ビル・ゲイツの食料戦略については、なぜか日本国内ではあまり報じられていない。今年一月に公表されたThe Land Reportの報告によると、アメリカで最も広大な農地を所有しているのがゲイツだ。ルイジアナ、アーカンソーなど十八の州で、合計二十四万二千エーカー(約九百八十平方km)を所有している。〉

『維新と興亜』第8号(令和3年8月28日発売)

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本サイトでは、紙版(定価715円)が650円で、EPUB版(定価600円)が500円で購入できます(ペイパル)。
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『維新と興亜』定期購読(5000円、送料込み)・会員
 

《目 次》

【特集】財閥富を誇れども 社稷を念う心なし 「経団連を討て!」
■なぜ経団連事件は起きたのか 民族派は国家の危機を察知する〝触覚〟(蜷川正大)
■右派はなぜ財界の横暴に無関心なのか 麗しき山河を守れ(針谷大輔)
■財界に甘いのは尊皇心のない証拠(小野耕資)
【日本浪曼派座談会】日本回帰・第五の波に備えて 下 アジアの道義的生活 三島由紀夫と蓮田善明(ロマノ・ヴルピッタ、金子宗德、山本直人、荒岩宏奨)

【巻頭言】ビル・ゲイツによる食の支配を許すな(坪内隆彦)
【時論】菅首相は「国家の奸物」、「天下の大罪人」(折本龍則)
【時論】「グローバリストの祭典」が示す日本終焉(小野耕資)
明治維新と神社神道 神社と神道をめぐる今日的な課題を探る(稲 貴夫)
藤田東湖と西郷南洲 ⑤ 「死を恐れない行動力」の精神(山崎行太郎)
なぜいま会沢正志斎『新論』なのか(折本龍則)
渋沢栄一の「第二維新」─大御心を拝して(坪内隆彦)
「維新」としての世界最終戦 現代に甦る石原莞爾 ② 螺旋的に進化する戦争(金子宗德)
三上卓の知られざる佐賀人脈 松尾静磨と舘林三喜男(小野耕資)
情報機関なくして自立なし 完 情報体制強化を巡る日米の思惑(福山 隆)
国民共同体経済思想の構築を(杉本延博)
三島由紀夫『英霊の聲』再読 ④(玉川博己)
いにしへのうたびと ① 人麻呂恋物語 上(玉川可奈子)
在宅医療から見えてくるもの 西洋近代文明の陥穽とその超克 ① 客観性が常に「正義の印」とは限らない(福山耕治)
尊皇愛国の経営 ② 「君が代」をきちんと歌えない日本の選手達(川瀬善業)
「草とる民」の記 ④ みくに奉仕団と勤労奉仕(小野寺崇良)
國體護持のための真正護憲論(新無効論)③(南出喜久治)
靖國論議に欠けている英霊の視線(仲原和孝)
農本生活と社稷思想(三浦夏南)
【蔵書紹介】浪曼者の翻読(山本直人)
【書評】鈴木宣弘著『農業消滅』(評者:小野耕資)

『維新と興亜』第8号

『維新と興亜』第7号

『維新と興亜』第7号(令和3年6月)

『維新と興亜』第7号

定価660円。本サイトでは600円で購入できます(ペイパル)。
なお、富士山マガジンサービスBASE (ベイス) でも購入できます。

『維新と興亜』定期購読(5000円、送料込み)・会員
 

《目 次》

【特集】グローバリストに支配される日本の食と農 属国農業から脱却せよ!
グローバリストに操られるわが国の農政(三橋貴明)
植民地農業を推進する菅政権(室伏謙一)
農本主義と現代の農業問題 グローバルアグリビジネスを打ち破れ(小野耕資)
日本精神の体現としての農(三浦夏南)
【日本浪曼派座談会】日本回帰・第五の波に備えて 中(ロマノ・ヴルピッタ、金子宗德、山本直人、荒岩宏奨)
【対談】アジア主義の封印を解く! 下(クリストファー・スピルマン、小山俊樹)

【巻頭言】 宮城県の水道民営化を阻止せよ(坪内隆彦)
●時 論 浦安から「食の安全」を通して我が国の食糧安保に貢献する(折本龍則)
●時 論 二度の東京五輪が示す開発の害悪(小野耕資)

【新連載】「維新」としての世界最終戦 現代に甦る石原莞爾(一)第二次世界大戦≠世界最終戦(金子宗德)
【新連載】尊皇愛国の経営 第1回(川瀬善業)

「海外神社」の思想 小笠原省三のアジア主義 下(菅浩二)
愛郷と郷土共同体(杉本延博)
三島由紀夫『英霊の聲』再読 ③(玉川博己)
藤田東湖と西郷南洲 ④ 水戸学の思想的エネルギー(山崎行太郎)
情報機関なくして自立なし 日本の情報体制強化策 ② アメリカに魂を売った外務省(福山隆)
國體護持のための真正護憲論(新無効論)②(南出喜久治)
皇統守護の任への自覚 高宮垂加神社を訪れて(折本龍則)
新左翼と歌心 重信房子『ジャスミンを銃口に』を読む(海野 学)
村上一郎と三島由紀夫事件 ③ 文武湊合への道(山本直人)
田中角榮とロッキード事件 ①(田口 仁)
近藤啓吾『紹宇存稿』他(折本龍則)
【書評】杉本延博著『国家社会主義とは何か』(評者:小野耕資)
活動報告
編集後記

第8回「権藤成卿『君民共治論』を読む」(9月25日)のお知らせ

以下の通り、第8回「権藤成卿『君民共治論』を読む」(大アジア研究会主催、オンライン)を開催します。参加希望者は事前にご連絡いただければ幸いです。

『権藤成卿の君民共治論』 権藤成卿

日 時 令和3年9月25日(土)午後7時
講 師 小野耕資(大アジア研究会代表)
テキスト 『権藤成卿の君民共治論』(展転社)
申し込み mail@ishintokoua.com

第4回「維新と興亜」塾「渋沢栄一と水戸学④」(8月27日、オンライン)

以下の通り、第4回「維新と興亜」塾「渋沢栄一と水戸学④」(『維新と興亜』主催、オンライン)を開催します。参加希望者は事前にご連絡いただければ幸いです。

教育勅語

日 時 令和3年8月27日(金)午後8時
講 師 坪内隆彦(『維新と興亜』編集長)
論 点 「教育勅語、戊申詔書と渋沢」等
申し込み mail@ishintokoua.com